賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2019/12/18

合唱コンクールを聴いて

先週の土曜日に行われた中学合唱コンクールは、皆さんとてもきれいなコーラスを聴かせてくれました。優勝したクラスはもちろんですが、中2や中1の合唱もとてもよかったです。
 今回の合唱コンクールで歌う曲の歌詞の意味について考えたことをHRノートに書いた生徒がいました。この生徒のクラスは、自由曲で「青いベンチ」を歌ったのですが、自分はこの歌が好きなのだけれど、歌詞の内容は恐ろしい男の話だと分かったのだそうです。「君は来るだろうか 明日のクラス会に」「ああいつも僕が待たせた駅で 待つはずない君を探すけど」などから偶然を装って出会い、復縁したいという男の気持ちが想像できたそうです。そうか、そういう解釈ができるのかと知って、ではこの曲をこのクラスはどのように歌うのだろうか、興味が湧きました。歌詞の内容を知っておくと歌を聴くときの楽しみが増えますね。
 この生徒のノートを読んで、そういえば逆に女の子が偶然を装ってボーイフレンドを待つという歌があったことを思い出しました。「まちぶせ」という曲です。きれいなメロディーなので好きだったのですが、あるとき歌詞をしっかり読んでみると、女の子の恋心を歌った曲なのですが、好きなボーイフレンドがいて、彼を自分の方に振り向かせたい、しかし私は自分から言い寄ったりはしない、近くに座って別のボーイフレンドからのラブレターを友達に見せて気を引こうとしたり、帰り道にぐうぜんを装って待ち伏せをしたりして、といった歌詞で、メロディーは好きだけれど歌詞にはあまり共感できず、少々がっかりしたことを覚えています。
 私はサザンオールスターズの「TSUNAMI」は日本のバラード曲のなかでも名曲中の名曲だと思っていますが、タイトルや歌詞の内容「津波のような侘しさに……怯えてる……」からして今や公には歌われることのない曲ではないでしょうか。でも、メロディーはとてもいいので、私は自宅では時折ギターでこの曲を弾いています。
 このほかに、歌詞の内容によって放送禁止になった曲もたくさんありますし、歌詞とメロディーの関係にはなかなか興味深いものがあります。
 歌詞の意味を充分に表現するためにメロディーは大変重要な役割を果たしていますが、そのよい例として一曲紹介します。
 「島唄」という曲を知っていますか。最も盛り上がる部分の歌詞は、「島唄よ 風に乗り 鳥とともに 海を渡れ  島唄よ 風に乗り 届けておくれ 私の涙」という個所です。ザ・ブームが歌って大ヒットしました。この曲は「でいご(沖縄の県花)の花」とか「ウージ(サトウキビ)の森」という沖縄の言葉が入っていて分かるように、沖縄を舞台にした歌で、そのため沖縄音階を使って作曲されています。表面上は男女の別れを歌ったラブソングになっていますが、実は歌詞には反戦の意味が込められています。作詞作曲したザ・ブームの宮沢和史さんは、「ひめゆり」元学徒から過酷な戦争体験を聞き、「(沖縄戦で亡くなった)20万柱の上に日本の戦後があるとは知らず、のうのうと暮らしていた自分が恥ずかしかった」、「自分にできることは音楽をつくること」と考え、作ったのが「島唄」でした。ただ、戦争のことをそのまま歌っても聞いてくれないだろうと思い、表面上はラブソングとしてその中にメッセージを託したということでした。この曲は沖縄音階を使っていると言いましたが、実は一か所だけ沖縄音階を使っていないところがあるのです。「ウージの森であなたと出会い、ウージの下で千代にさよなら」という部分です。「サトウキビ畑で出会い、サトウキビ畑の下の地下壕で自決した」という意味が込められていて、「サトウキビ畑で出会った人たちに自決させたのは誰か。それはヤマト(本土)の人間。そう考えたら沖縄音階はとても使えないと思った」と宮沢さんは言っています(毎日新聞 2019/6/25)。作曲者の強い思いがこのような工夫によって表現されているのです。
 音楽は楽しんで聞くものなので、ソファに寝転がって気楽に歌を聞いて「いい歌だな」と感じるだけで十分です。ただ、気に入った曲があって、歌詞の内容やメロディーの構造に興味を持ったときは色々調べてみるといいでしょう。まったく新しい発見があったり、作詞家、作曲者の顔が見えてきたりするかもしれません。それも音楽の持つ力を感じさせる大切な聴き方でしょう。
 来年の合唱コンクールを楽しみにしています。

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