賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2020/02/17

百聞は一見に如かず?

 「百聞は一見に如かず」といいますね。何事も自分の目で確かめることが大切であるという意味で、経験することの重要さを説いた故事成語です。確かに他人の体験談は面白いし、説得力もあります。私の朝礼の話でも、バッタを倒しにアフリカへ行った前野ウルド浩太郎さんの話や中国を旅行した星野博美さんの体験談や、ときには私自身の経験談も紹介したことがあり、そのときは生徒の皆さんも普段よりも興味をもって聞いてくれていたように思いました。
ところで先日、ある先生と話をしていて、「百聞は一見に如かず」の話題になりました。その先生は出不精なのか海外には一度も行ったことがない、でも自分は「百聞」をたくさん重ねることで「一見」を補うようにしている、と言われたのです。なるほど、そのような筋の通し方もあるわけですね。このやり取りの後で、私は自分が旅行したときの経験を思い出しました。その話を今日はしますが、結論を先に言えば、体験することはとても大事なことであるが、実際に体験したとしてもそれが物事の本来の姿、あるいは真実を語っていない場合もあるということです。
数年前の夏でしたが、家族で高知県の四万十川を旅行したことがありました。水がきれいな川として知られていますよね。日本最後の清流、と宣伝されたりもしています。私たちはまず最初に四万十川の源流地点に行ってみました。自動車が一台通るのが精いっぱいの道をかなり上って、最後は渓流に沿って山登りをして源流地点の標識のあるところまでたどりついたのですが、どうみても水はもっと上から流れてきています。「源流地点」の定義は、「水が湧き出ている場所」のような一見して分かるような状態をいうのではないのかもしれませんね。その後調べてみると、源流地点がある津野町は、源流点の選定について、「水のない渇水期でも水が枯れない地点」として、この地点を選んだという説明をしていました。
その後、四万十川を見ながら一気に下流域まで移動し、四万十川流域にある水車や欄干のない橋(沈下橋)など風情のある風景を楽しみましたが、それらを楽しみながらも自分の中では何か変だという違和感が旅の間中ありました。それは、やがてはっきり意識するようになっていったのですが、何かというと、「四万十川はきれいではない」ということなのです。私にとって四万十川は、「水底が見えるほど透明感のあるきれいな川」というイメージがあったのですが、私たちの見た四万十川はごく普通の川で、川岸にはペットボトルが流れ着いたりしていて、「最後の清流」と言われる川のイメージからはほど遠いもので、少々失望しました。後で分かったことですが、実は家内もこのとき同じことを感じていたようで、しかしお互いにこのことについては触れてはならないタブーのように思って黙っていたのでした。
翌日は河口付近を遊覧する遊覧船に乗りました。案内役の船頭さんの解説を聞きながら水量が豊かでゆっくり流れる四万十川の景色を楽しんだわけですが、遊覧の最後のころになって、船頭さんは水の濁りについて話をしてくれました。今、お客さんたちが見ている四万十川の水はあまりきれいではないが、これは、実は先日の台風9号の影響で降った大雨によって上流から土砂が流れてきて川が濁ってしまったことが原因で、あと4,5日もすればもとの透明度の高い川に戻るのだが、それを見せることができなくて大変残念だ、といった内容でした。この説明を聞いたときに、ああ、そうだったのか、それであまりきれいではなかったのか、と納得した半面、澄みとおった本当の四万十川を見たかったという残念な気持ちも入り混じる複雑な思いをしたのを覚えています。
普段流れている四万十川はきれいな川ですが、我々が見たときは大雨の影響で濁りが激しい状態であったわけです。でもそのときだけ四万十川を見た人間にとっては、これが四万十川の本来の姿であると勘違いしてしまうでしょう。幸いにして私は船頭さんの説明が聞けたので修正できたのですが、このように、実際に見た景色が実は通常の姿を示していないという場合もあります。
経験することはとても大事なことで、特に若い皆さんは積極的に関わっていってほしいと思いますが、それだけでなく、それらを学校の授業から得られる知識や書物からの知識、あるいはメディアからの情報、さらには場合によっては想像力などによって肉付けや修正をすることも併せて大事なことだということを知っておいてください。
3学期も残り少なくなってきました。3月に入ると学年末考査が待っています。学校で習った知識をしっかり自分のものにすることができるように早めに準備をしてがんばってください。

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