賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2022/04/18

賢明ルーブリックの作成

おはようございます。

新年度の授業が始まって1週間が経ちました。新しい科目や担当の先生も一巡し慣れたことと思います。いくつか授業を見させてもらいましたが、それぞれ意欲的に取り組んでくれていました。中学1年生はクラブ見学を始めましたね。また、廊下からは、何年生か分かりませんが元気な挨拶が聞こえてきています。2022年度、よいスタートが切れたのではないでしょうか。

ところで、授業があれば当然多くの科目で理解度・到達度を測るテストが実施され、テストをもとに成績がつけられます。生徒はいい点を取れば喜び、よくなかった、たとえば50点しか取れなかったら落ち込んだりします。

今、「50点しか取れなかった」と言いましたが、これは成績を否定形で捉えた見方です。「取れなかった」という否定形。でもこれを達成できた部分に焦点を合わせて、「50点取れた」という肯定形で捉えることはできないでしょうか。というのは、もし私が同じ試験を受けたと仮定して考えてみると、一体50点取れる科目がどれだけあるか、自信はありません。おそらく高校の科目ではほとんど惨憺たる成績が出るのではないでしょうか。失礼ながらあなた方の保護者の方も似たようなものかもしれません。だから50点で満足していいよ、と言っているわけでは決してないのですが、「50点しか取れなかった私は能力が低いのね」と卑下する必要もまったくないのです。

大事なことは、その後に向けての心構えと行動です。50点分はとりあえず理解できていたと捉え、そのことについてまず評価する、次に理解できていなかった部分、達成できていなかった部分にフォーカスし、つまり焦点を当てて、次回は10点プラスの60点をめざそう、そしてその次は70点を取ろう、というように目標を設定し目標にフォーカスしてがんばる、つまり理解できた部分を少しずつ積み重ねていく、プラスの志向性でがんばる、その姿勢を持ちたいものです。その方がやる気も出るし目標ができて楽しいと思います。

そのようなプラス思考をもとに、達成できたことを段階的に積み上げていくことで最終目標に到達しようという狙いのもとに作られた評価方法にルーブリック評価というものがあります。聞いたことがあるのではないでしょか。ルーブリック評価とは、今までで達成できたところをまず確認し良しと評価する、次に設定した目標に従って段階的に課題をクリアしていき、最終目標に到達することをめざす前向きの、言い換えれば未来への可能性を志向する評価方法です。

実は、今年度から賢明女子学院では今話をしたルーブリック評価を導入することにしました。勉学面だけでなく皆さんの学校生活のあらゆる面においてプラス思考かつ未来志向で取り組んでもらうための評価システムです。今日はそのルーブリックの説明をすることにします。

まず、賢明で作成したルーブリックについて簡単に説明します。ルーブリックをイメージするために頭の中で縦10,横6の60のマス目のある表を思い描いてください。賢明では皆さんに身につけてほしい大事な力として10項目を考えました。その10項目を縦軸として並べます。タイトルだけ紹介すると、①興味関心を持つことのできる力、②共感力、③感性・知性、④価値観・倫理観、⑤知識力、⑥情報処理能力、⑦プランニング力、⑧発信力、⑨自走力、そして⑩番目が協働力です。この縦に並んだ10項目それぞれについて、達成の度合いに応じて、基本的な達成段階から発展・応用段階を経て最終目標達成段階に達するまでを6段階に分けて横軸に並べます。たとえば、項目①の興味・関心であれば、最初の基本段階(E段階)はまず自分を見つめること、自分の興味を持ったことについて、辞書やICTを用いて調べようとするなどの段階です。これがクリアできれば、次は他者に目を向けていき、他者の興味関心事に自分も関心を寄せ知識を得て学ぼうとしていけるかどうかです。これがD段階です。以下、自分と他者との関係性の観点から興味関心を拡げていくC段階、自分そのものの枠を拡げることができたかどうかが評価のポイントとなるB段階、そして地域社会という視点で興味関心を持ち参画することができたかどうかというA段階を経て、グローバルな視点で自分の資質をどのように地球市民としての一員として活かせているかというS段階に至る、これを最終目標とします。このようなEからSまでの6つの到達段階を、身につける10の力すべてで設定しました。つまり合計60の枠、評価があることになります。皆さんはこのルーブリックを利用して、たとえば自分は共感力についてはC段階まで来ている、だから次はB段階を目指そう、けれども自律に関わる自走力についてはまだD段階だ。だからこれからはC段階になるように努力しよう、といった具合に到達度をチェックし、ステップアップしていってほしいのです。

皆さんはここにあげた10の力について、教科の勉強だけでなく行事やクラブ活動や探究活動など、学校生活のすべての分野でそれこそ“The Best”の精神で取り組んでください。6段階のクリアには当然時間がかかります。賢明女子学院卒業(Graduation)の時点で身につけていてくれることが目標(Policy)です。がんばって取り組んでください。なお、最後のS段階はかなり高度な理想形になりますから、場合によってはA段階達成まででも充分です。

ここまでの説明を聞けば、今回なぜルーブリック評価を導入したのか、という疑問にも答えることになったと思います。2つの理由があります。1つは賢明女子学院がめざす教育理念の実現のため、ということです。賢明女子学院は、生徒の皆さんが学院創立の源である聖マリー・リヴィエが説かれた、キリストに倣う生き方を現代社会に活かして、「燈台の光」となる心豊かな女性となり、共感力に富み、創造性に満ちた社会の実現に貢献するいわば「希望の建設者」となってくれることを願っている学校です。

そのような人になるために必要な資質・能力は何か、これがさきほど説明した10項目の力です。昨年1年間をかけて先生方に検討していただきました。そしてこれら10の力を達成するために作られた評価システムが賢明ルーブリックなのです。

2つ目の理由は、ルーブリック評価をすることで賢明生が学校生活のすべてにおいて今まで以上に意欲的に関わることができる、ということです。最初に話した通り、皆さんには否定形で自分の能力を測るのではなく、プラスの志向性を持って、そしてかつ未来志向で自分を捉える習慣を身につけてほしいのです。ルーブリック評価はそのような習慣を身につけてもらうのにとてもよい方法です。

ルーブリック評価は振り返りシートを用いて生徒と先生の両方でおこないます。評価するのは学習面だけでなく、さきほど話したとおり学校での活動のすべての分野が対象になります。たとえば、行事という項目を取り上げてみると、プランニング力や発信力、協働力など多くの項目で達成度が評価できます。言い換えれば、行事という学校活動は賢明女子学院の生徒が身につけてもらう力を獲得するとてもいい機会なのだということが分かります。

先生と生徒の達成度の評価に違いが生じることはあるでしょう。生徒の自己評価は低いけれど先生からの評価は高い、あるいは逆のケースもあるかもしれません。それでもよいのです。外部評価によって自分に対する新しい気づきがあれば自分の可能性を拡げることにつながるでしょう。

ルーブリック評価は基本的には成績に反映される性質のものではありません。ですが、これからの大学入試を考えた時、今、大学は国公立大学にせよ私立大学にせよそれぞれのアドミッションポリシーに従って、入学してほしい学生を色々な選抜方法によって合格させる方向に進んでいます。最高学府で学ぶのですから知識をしっかり身につけておくことは当然のことですが、それだけではない要素の比重が高くなってきています。その点からも、学校生活のあらゆる機会を利用して自分の可能性を拡げていくことは意味のあることなのです。

なお、ルーブリック評価は、今年が1年目になりますからすべての教科や諸活動で一斉に評価をおこなうことはせず、いくつかの部署で先行して実施することにします。この科目や活動では評価がおこなわれたけれど、別の科目ではおこなわれなかったということがありますので、あらかじめ了承しておいてください。

それでは今日の話を終わります。

 

 

KENMEI360度

入試説明会 イベント情報

光あれ 日々の所感 校長ブログ

Be Leaders

The Best

採用情報

寄付のお願い