賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2022/05/09

8時15分に出るとよい

おはようございます。

先週の土曜日は授業参観があり、多くの保護者の方々が学校に来られました。これだけ多くの方が来られたのは久しぶりのことです。4月の終わりには中1のオリエンテーション合宿が行われ、入所式・退所式で1年生が校歌を歌いました。録音での校歌は何度も聞いていますが、生の声で校歌を聞くのは2年以上なかったことなのでとてもよかったです。通常の学校生活に戻りつつあるのを実感します。コロナ禍はまだ続いており、連休明けで感染者の数も増えているので今後の状況次第でどうなるか予断を許しませんが、現時点では今年度は球技大会や学院祭、体育大会など学校行事を実施していく予定ですので楽しみにしていてください。

少し前にSNSなどで話題になったらしいのですが、小学2年の算数の問題に対するある女子児童の答えです。神解答とも言われたようです。「駅まで家から30分かかります。8時50分に駅に着くには家を何時何分に出たらよいでしょう」。引き算の問題ですね。

この子は「8時15分に出るとよい」と解答欄に記入したそうです。「8時20分だとぎりぎりであせるとあぶないから」という理由も付けました。先生の採点は不正解でした。お父さんは「算数で5分前行動はダメ。でもわが家では正解」と褒めたということです。では、皆さんが先生であったなら、あるいは親であったならどう採点しますか?

教科を担当していたころ、テストの採点は私にとってはあまり楽しい仕事ではありませんでしたが、時折笑ってしまう珍解答・迷解答に出くわすこともあります。ある生徒はお父さんがお酒好きだったからかもしれませんが、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画で『最後の晩餐』と答えるところを『最後の晩酌』と書いてきました。また、「ロジャー・ベーコン」という人名を答えるところでベーコンが浮かんでこない、食べ物と同じ名前だったことは覚えていたので苦し紛れに「ロジャー・コンビーフ」と書いてきた答案もありました。大いに笑ったものでした。今日紹介した小学2年生の女子児童の答えですが、私はまずはなるほどなと思って感心し、顔がほころびました。ですが、採点するとなると、なるほどでは済まされません。○にするか、×にするか、それとも部分点をあげるか……。

この子の書いた解答は、視点を変えて考えてみると色々な解釈ができることに気がつきます。まず、算数の問題としては正解は「8時20分」しかありません。ですから、「8時15分に出るとよい」は当然不正解となります。でもこの子が付け足して書いた理由まで読むと、計算は正しくできていることが分かります。その上で、「あせるとあぶないから5分前の8時15分に出る」という答えを書いたのです。計算はできていた、と解釈して○をつける、あるいは部分点を与える先生はいるかもしれません。

この子は算数の計算は正しくできていて、さらにホームルームで教わった5分前行動(賢明では10分前行動ですね)がしっかり身についていたのでそれが頭に浮かんでこのような解答となったのでしょう。持っている知識を総合して物事を考える能力があります。様々な角度からの知識を総合してまとめる力、総合力は社会で活動していく上でとても大事な能力です。ただ、ここでは「8時50分に駅に着く」という条件のもとでの算数の問題だという点を考えなければなりません。算数の問題として「5分前行動」は考慮する必要がない条件になります。従って先生がこの答案を×と採点した判断は納得できるものです。理科の問題で、「氷がとけると何になりますか」という問題に対して、「春になります」と答えた児童がいたというのも、ほのぼのとしていて想像力もあり、つい正解としたくなりますが、理科の問題に対する答えとしては残念ながら正解にはなりません。出された問題の題意や条件を正しく読み取ることのできる力、読解力は国語だけでなくすべての科目に関わる能力なのです。

なお、「8時15分に出るとよい」と答えた女子児童がその理由も付け加えたのはよい判断です。数学の問題では答えだけを採点する問題と、記述式でかなりのスペースが与えられ、途中の計算式や考え方も採点対象にする問題があります。大学入試でも答えが間違っていても途中の考え方が正しければ部分点が与えられます。難問ばかりを出題する大学の入試では最初から部分点狙いの受験生がいるとも聞きます。以前、年配の数学の先生が「数学の問題を解くときは計算式だけでなく、必ず解法の仕方が分かるような文を書いて残せ。計算ミスをした場合、何も書いてなければ点をあげようにもあげられない」と口を酸っぱく強調していたことを思い出しました。

以上のような色々なことを考えさせてもらえた小学2年生の児童の書いた答案の話でした。この子の書いた答案の意図に沿いながらお父さんの立場に立ってアドバイスをするとすれば、「まず始めに『8時20分』と答え、その後で『あせるとあぶないから8時15分に出るとよい』と付け加えれば○がもらえたと思うよ」、と言えばよいでしょう。ただ、それでも答えに必要のない余計なことを書いたとして減点する厳しい先生はいるかもしれません。

今日は小学2年生の児童の書いた算数の答案の話を読んで私が考えたことについて話をしました。来週の土曜日から中間考査が始まります。計画を立てて早めにテスト勉強を始めるようにしましょう。そして常日頃から総合的な物の見方ができるように授業に取り組み、本番のテストでは題意を正しく読み取った上で解答するように心がけてください。

それでは、今日の話を終わります。

 

 

 

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