クリスマス行事について教えてください。

賢明が長年大切に続けている宗教行事の一つです。イエス・キリストの誕生を祝うタブロー(フランス語で「絵画」の意味)と呼ばれる静止劇を中心に、聖歌隊やハンドベルなどの楽器隊が舞台を盛り上げます。タブローは、演者役の生徒が舞台上で静止して聖書の場面の絵をつくり、声優役の生徒がセリフをあてるというおもしろい演劇表現で、賢明では30年以上も演じ続けているんですよ。

タブローを作り上げる過程は、どのようなものですか?

この行事の主体は高校1年生。夏休み中に実行委員を募集し、二学期の初めには、23名の実行委員が決まりました。実行委員が学年全体をまとめて配役を決め、そこから先は、演者・声優・音楽・大道具などパートに分かれて練習を重ねていきます。ハレルヤコーラスや英語の聖歌の発音が難しく、英語の先生に指導していただくこともありました。

クリスマス行事が、生徒の心に残すものとは?

クリスマス行事の一番の目的は、イエス・キリストの誕生を学校全体でお祝いすることです。また、行事を完成させる過程では、生徒は多くのことを学びます。たとえば、練習内容を決める際には「次回はどんな練習メニューでやれば効果的だろう」と壁にぶつかったり、また、クリスマス行事は授業ではないため、練習は生徒の自主性にまかせているのですが、「どうやって練習時間を作ろうか」と悩んだり。いろいろなことを乗り越えて成功させた先には、結果的に大きな達成感が待っています。
 
また、一歩踏み込んで、イエス・キリストについて考える機会ととらえることもできます。「イエスの誕生は私たちにとってどんな意味があるのか」。聖書を読むだけではわからないことを、生徒自身で考えながらタブローを作り上げることで、自分たちの「生き方」を考えることにもつながるのです。

先生も、賢明在学中には「生き方」について考えましたか?

クリスマス行事ももちろんですが、私の場合は同級生の友だちからの影響も大きかったです。まわりには個性的な仲間が多く、たとえば、環境問題について強い関心のある子は、食堂に「マイお箸」を持って来て昼食を食べていました。彼女から薦められた本を読むうちに、自分も環境問題に興味を持つようになりました。日常の中でさまざまなことに興味を持つ友だちに刺激を受け、自然と「自分はいったい何をしたいのだろう?」と考えるようになりました。

在学中に学んだことは生きていますか?

賢明は「一人ひとりの良さを引き出すこと」を大切にしており、それは私の在学中も同じでした。ですから私も、生徒が何か良いことをした時は必ず、どんなことでも褒めるようにしています。また、「好奇心を持って学ぶこと」も大切です。生徒たちが興味を持てるように、担当する宗教科ではできるだけ楽しい授業を心がけています。宗教の授業で楽しくといってもなかなか難しいのですが、昨年行った一日錬成会では、聖書のお話はここで終わっているけど、その続きを自分たちで考えてみる。そして、それを劇にしてみる。さらに、設定を現代に置き換えたらどうなるか考えてみるなど、深く、広く聖書を学んでいきます。これは生徒も大いに楽しみ、教室は大爆笑になりました。

先生のこれからの目標を教えてください。

世の中は時代とともにどんどん変化をしていきます。伝統的なクリスマス行事が、どうすれば今の在校生の心に響くのか…。臨機応変にアプローチを考え続けていきたいです。そして、賢明で学んだ愛の精神が卒業後もずっと生徒たちの心の中に残るものになるために、教科や生徒指導を通して頑張っていきたいと思います。

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