大学受験も正念場です。今のお気持ちはいかがですか?
国公立大学出願のための面談も終わり、ようやくここまできたかと正直ほっとしています。今まで3年間、受験指導だけでなく学校生活の全てを見てきましたから、彼女たちの頑張りが報われて欲しいという気持ちは当然あります。ただ、一番思うことは、センター試験翌日にもクラスで話をしましたが、みんなやるべきことはやってきたので、あとは自分の力を出し切って、悔いのない清々しい気持ちで卒業式、そして合格発表を迎えて欲しいということです。
センター試験の前には、生徒にどんな声をかけられたのですか?
年末の面談では私立大の出願先を決めるのと同時に、センター試験に向けてそれぞれに話をしました。センター試験直前には、多くの先生方からたくさん声かけをしていただいているので、私自身は特別なことは言いませんでした。この日のために頑張ってきたという強い思いはあるけれど、気負うことなく、試験当日はとにかく平常心、いつも通りを心掛けるようにということだけを伝えました。
そのお声かけをされた意図や想いを教えてください。
ソフィアの生徒たちは、学習面はもちろん様々な場面でプレッシャーを感じて3年間を過ごしてきました。神戸・岡山・広島大といった国公立大学進学という明確な目標に向かって、各先生方の指導にも熱が入り、目標達成のための授業を展開し、課題を与え、声かけをしてくださいました。ただ、「ソフィアだから…」というプレッシャーが時には重すぎることもあり、その緩衝材みたいなものが私の役割だったと思っています。だから、あまり特別なことを言わず、いつも通り頑張っておいでという気持ちで送り出しました。
3年前、ソフィアコースの担任に決まったときは、どう思われましたか?
高校での学びが、ルミエールとソフィアという2コース制になったのがちょうど3年前。新設のソフィアコースの、初めての担任が私でした。前例のないことでしたから、すべてが手探り。でも、私の実践したことが、来年高校1年生のソフィアコースを担当する先生の参考にもなるので、大きなやりがいを持って取り組みました。
先生の教育のスタイルとは、どのようなものですか?
なるべく生徒の自主性に任せるようにしています。生徒たちが自ら行動を起こすのを待ち、私の方から先回りして指示することは控えています。どんなことでもそうなのですが、たとえ失敗したとしても、自分から積極的に行動しなければ、その失敗が生徒にとっての財産にはならないんです。もちろんただ放置するのではなく、状況はしっかり把握しながら、生徒が助けを求めてきたときには力を貸すようにしています。
新しくできたソフィアコースで、まず実施したのはどんなことですか?
個別面談です。多くの場合、賢明では、中学入学から高校卒業までの6年間、持ちあがりで一つの学年の生徒たちを担当します。でも私の場合は、前年は高3を担当しており、この学年には関わったことがなかったんです。クラス運営には生徒一人ひとりがどのような状況にあり、どんなことを考えているのかを把握することが最優先です。ですから、まずは面談でじっくり話を聞き、生徒たちを知ることから始めました。
先生が実施された受験に向けたサポートを、何か一つ教えてください。
担任として受験を控えた生徒に対してできることは、目標を提示することだけだと思います。高2の終わりごろに、「センター試験まであと●日」という日めくりカレンダーを作って、教室に貼りました。ゴールが見えていると、そこに向けて頑張ることができます。生徒は自分たちでカレンダーをめくりながら、「数字が300台から200台になったな」とか、「夏休みが終わったら、数字が30以上も減っていた!」とか、常に受験を意識することができたようです。
受験を通して、生徒に学んでほしいこととは?
自分にぴったりな「物事の進め方」を、試行錯誤しながら見つける、受験はその一つの機会ではないでしょうか。「この勉強の方法が自分には合っている」「自分は朝型だから、朝早起きして勉強をしよう」など、どういうやり方でやるのが自分には一番良いのかを、自分の力で発見する。そういう経験が、社会に出たときに一助となると思います。これは、受験に限らず、クラブでも同じことです。だから、教師から与えられた勉強だけで満足するのではなく、そこに自分なりのアレンジを加えて、どんどん自分のものにしていってほしい。本番まであと1カ月ちょっと、受験勉強を通して見つけ出したそれぞれの最高の方法で、受験を乗り切ってくれると確信しています。