音楽の先生をめざそうと思ったのはなぜですか?
小さい頃に足が悪くて、手術をした私に、母が「手に職をつけて将来一人でも生きていけるように」と幼稚園のときからピアノを習わせてくれました。もともと音楽が好きだったこともあり、当時は合唱団にも入っていたので、自然と時が経つにつれて音楽の道に進みたいと思うようになりました。
音楽の道への想いは、賢明在学中も変わりませんでしたか?
私が高校3年生のとき。ちょうど受験前だったのですが、父が病で倒れたことがありました。かなり危険な状態だったので、一時は「もう大学で音楽を学ぶことはできないのではないか」と就職や別の道へ進むことも考えたほどでした。ですがその後、奇跡的に父の容体も回復し、諦めかけていた大学にも行けることになり、音楽への道が開け、本当にうれしかったことを覚えています。この経験から、今も生徒たちに「勉強やお稽古ごとをできるのは親があってのこと。感謝しなさいね」と伝えています。大学卒業後には、シスターにお声掛けをいただきまして、この学校で働くことになりました。
賢明には、先生が作詞・作曲されたオリジナル曲があるとか。
2曲あります。1曲目は「愛の炎」というタイトルです。私が高校1年生のとき、創立者のマリー・リヴィエが福者に列せられました。それを記念して、大阪カテドラル聖マリア大聖堂で「マリー・リヴィエ列福記念ミサ」が行われることになり、そこで歌う曲を作るよう先生に依頼されたのです。何名かの生徒が作ったものの中から、私の曲が一番親しみやすく、歌いやすいからと採用となりました。この曲は今も受け継がれており、マリー・リヴィエの記念日などに歌っています。
もう1曲はどんな曲ですか?
この学校の50周年の記念歌として作った「永遠に」というタイトルの曲です。教師として働きだしてから作った曲で、大好きな母校がいつまでも続いていってほしいという願いを込めて作りました。この曲も創立記念日のほか、授業でも歌っています。
音楽が持つパワーとはどのようなものだと思われますか?
うれしい時、誰もが自然と歌を口ずさみます。悲しい時、苦しい時、優しい心の歌を聞くと癒され、涙が出ることもあるほどです。ヴァイオリンやフルートなど楽器の音が心に染み入るように感じられることもあります。素晴らしい音楽を聞いて、人生観が変わるほど感動することもあります。音楽は人の「心」を動かす偉大な力を持っているのです。心から心に届く深い音楽、原点は祈りだと思います。
音楽科の先生として、今思うこととは?
生徒たちには、道端に何気なく咲いている花を見て、「きれいだな」と思える豊かな感性を養ってほしいと思っています。音楽の力がその一助になることができればと、一コマ一コマの授業に思いを込めてパワフルな授業をおこなっています。
また、賢明を卒業された先輩の中には、音楽が好きでずっと音楽の道を貫いている方が複数いらっしゃいます。そんな先輩方に学校にお越しいただき、演奏会をプロデュースしつづけることが私の夢です。今年度も実際にいくつか演奏会を行いました。生徒たちが先輩方の演奏を聞き、感性を磨くと同時に、道を貫く大切さについても学ぶ機会になればと思っています。