リヴィエ館前のロビーは、私にとって思い出深い場所。少林寺拳法部の練習をいつもここでやっていました。当時の部員は60人ほどと多かったので、ロビーだけでは収まらず、中庭まで溢れていましたけど(笑)。少林寺拳法には、1人で行う「単独演武」、2人で行う「組演武」、6もしくは8人で行う「団体演武」があります。2人以上で行うときには必ず相手がいるわけで、演武がきちんとかみ合うよう、お互いの様子を把握する必要があります。練習を通して、自分ばかりに意識を向けるのではなく、自分のことと相手のことの両方を考える姿勢が身につきました。
人数が多い部活だったので、大会に出られるのは選抜メンバーのみ。絶対に大会に出たいと、日ごろから真剣に練習に取り組みました。うれしいことに私は大会へ出場できたのですが、そのとき考えたのは、一緒に練習に励んでいたのに大会に出られなかったり、やむをえず部活をやめていったりした仲間のこと。ともに過ごす中で、切磋琢磨し、悔しい思いを味わい、相手の思いを受け取った経験が、今の自分をつくっていることに気づいたのです。「演武」と「弁論の部」がある少林寺拳法の大会。「弁論の部」では私の気づきを発表し、4位をいただきました。
大学卒業後、賢明で国語の教員となり、現在7年目。授業では、生徒たちに国語のおもしろさを伝えていきたいと考えています。文章は、ひとつの言葉、ひとつの文のつながりで、相手を涙させることもできる。私は文章を読むことは、人と話をしているのと同じだと思います。実際には出会えない人とも出会えて、考えにふれることができます。かつて読んだ文章も、自分の状況が変われば、受け取り方が変わるのもおもしろい。ただ、それを独りよがりに生徒に押しつけてはダメ。大切なのは生徒の目線に近づき、気持ちを汲み取ることだと思っています。