私の家はカトリックを信仰しています。まだ小さな子どものころから、日曜日にはミサで教会音楽に触れ、平日も近所の修道院へ遊びに行き、シスターの膝の上に座ってピアノを教えてもらう環境。音楽が、自然と身の回りにありました。私にピアノを教えてくれたシスターは、なんと元・賢明の音楽の先生。私の母に「この子は音楽で生きていく子よ」と言ってくださったことから、私はピアノと声楽を、本格的に習い始めることになりました。当時、私の家にはゲームもマンガもなく、音楽が唯一の趣味。好きな曲をピアノで弾いて楽しんでいたのです。
賢明に入学後、いったんは音楽と関係のない部活に入っていましたが、友だちに誘われてブラスバンド部に入部。しばらく離れていた音楽が再び身近になると、「やっぱり私は音楽が好きだったのかもしれない」と思いました。部活で選んだ楽器は打楽器。チューバよりも低い音をバスドラムが出し、フルートやピッコロよりも高い音をトライアングルが出せること、そして楽器の種類が豊富なことも魅力でした。演奏会で一緒になった他校の生徒の腕前が、自分より上であったことに触発され、「もっとレベルを上げたい!」とのめり込んでいきました。
音大に進学するとき、避けて通れないのがクラッシックです。それまで苦手意識を持っていた私も、受験のためのレッスンを開始しました。なかなか上達せず悩んでいる時期に、何度も相談に乗ってくださったのが、音楽の谷川先生でした。ある日私が、「レッスンの先生に怒られて、泣いて帰ったんだ」と泣き言を言うと、先生は「怒られているうちが華よ」と一言。その言葉で、「音大受験は自分で選んだ道なのだから、甘えていてはダメなんだ」と気づき、練習に没頭するようになりました。今、音大へ進学できたのは、先生の言葉のおかげです。