

2023/04/07
おはようございます。
春、冬の間、じっと土のなかで春を待ちわびていた虫や鳥たち、そして色とりどりの花たちが目に見えない働きを察知して、自然の動きが始まりました。
今年度から校長を務めることになりました、藤岡佐和子です。松浦先生から引き継いで、皆さんと先生方、職員の皆さんと一つになって、ますます良い学校にしていきましょう。
さて、新年度が始まりました。学年が一つ上がり、新しいクラスになり、担任の先生やメンバーが変わった人もあると思います。1学期始業式にあたり、2023年の学校の目標についてお話したいと思います。最初の目標は、今年度の聖書の言葉を深く味わってほしいことです。
2023年度の聖書の言葉を、「マルコによる福音書4章30~32節」としました。
「神の国を何にたとえようか。どのようなたとえで示そうか。それは、からし種のようなものである。土に蒔くときには、地上どんな種よりも小さいが、蒔くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る」
聖書のマルコによる福音書の4章は、神様の、み国に関するイエス様のたとえ話が多く取り上げられています。この聖書の箇所の「蒔かれる種」とは、神様の、み言葉のことで、様々な土地は、「さまざまな人々」を表しているのでしょう。
皆さんは、からし種を見たことがありますか。私は以前、ある先生が持っておられたのを見せていただいたことがありますが、黒ゴマの粒のような小さな種だったと記憶しています。大きさは1ミリ以下。イエス様の時代には、他のどんな種よりも小さな種だと思われていたようです。
ところが、このからし種、畑に蒔いて成長すると、とても大きな野菜になります。からし種は平均150㎝ぐらいの高さになるそうですが、大きなものでは3mくらいになるものもあるそうです。このたとえ話は、神の国は、成長するからし種のようなものだと教えています。最初は最も小さいかも知れないけれど、大きくなると、どのようなものよりも大きく成長すると、イエス様はいわれます。これは、私たち、一人一人の、自己の成長にも当てはまるのではないでしょうか。
皆さんは、今は小さな種かもしれません。たくさんの可能性を秘めた小さな種でしょう。この種が、どんな風に成長していくかは、誰にも分りません。いつ頃伸びるのか、何年後に伸びるのか誰にも分りません。そして、種が成長していくには、土も、水も、太陽も必要です。今、皆さんは賢明女子学院という土の中に蒔かれています。これから、この学校の学びの中で、皆さんに水をたっぷり注ぎ、たくさん太陽の光を浴びてもらって、ぐんぐん成長していく手助けをします。
そしてこれからがとても大事なことですが、種は、自らの力で成長します。あなた方は、様々な出会いや、発見を通して、あなたの力を存分に発揮して、自分という素晴らしい木に成長してほしいと願っています。そのような意味も含めて、今年の聖書の言葉を選びました。いつも心に留めて、意識しながら学校生活を送ってほしいと願っています。
もう一つ考えてほしいことは、新しいクラスのみんなで、互いに助け合って、いろんなことにチャレンジしてほしいです。随分前の「心のともしび」という機関紙に、ハヤット神父様が次のようなたとえ話を書かれていました。イメージしながら聞いて下さい。
「地獄と天国を旅して帰り、そのことを家族に話した人がありました。その人は最初に地獄で見たことについて語りました。地獄では非常に細長い部屋に、細長いテーブルが置かれていました。そのテーブルには美味しそうなごちそうがたくさん並んでいましたが、テーブルの両脇に座っている人たちは、皆痩せて悲しそうな顔をしていました。彼らは1メートルもある細長い箸を持たされていて、箸で食べ物を自分の口に持っていこうとしていたので少しも自分の口には入らなかったのです。箸が長すぎたのです。
次に天国に行った時のことを話しました。天国でも地獄と同じような細長い部屋に、細長いテーブルがあり、地獄と同じようにごちそうもたくさん並べられていました。しかし、両脇に座っている人々は皆、幸せで健康そうでした。地獄と同じように、天国の人々も1メートルの長い箸を持たされていました。地獄と違うのは、天国の人々は、その箸で自分の口の中に食べ物を入れるのではなく、テーブルの向かい側にいる人の口に食べ物を入れてあげていました。こうして天国の人たちは、互いに助け合って、お互いに幸せなのです。」
毎日の学校生活が充実して、楽しいものになるために、互いに意識を高めあいながら、実践していきましょう。朝の新鮮な空気をたくさん吸って、気持ちの良い挨拶、明るいほほ笑み、人に優しく親切に、勉強やスポーツにも励み、たくさん友達を作って、自分の本当の生き方を探していきましょう。たった1秒でできる言葉、「あいさつの言葉」も意識しましょう。挨拶はいったい何のためにするのでしょうか。人と人とが関わり、支えあって生きています。あいさつはその「皆で一緒に暮らしている」ことを確かめるためのものです。おはよう、こんにちは、ありがとうなど、たった1秒で言える言葉が学校のあちこちで聞こえるようになると、もっともっと素敵な学校になると思います。以上、始業式にあたって、目標についてお話ししました。
私の話をしっかり聞いてくれて「ありがとう」
2023年4月7日