賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2024/03/19

2023年度中学校卒業式

74回生の皆さん、賢明女子学院中学校、ご卒業おめでとうございます。

姫路城の桜も蕾を膨らませて、咲く時をまっています。新しい命が息吹き始めるこの春の良き日、賢明女子学院中学校の卒業式を迎えることができました。本日はご家族の皆様には御多忙のなかご臨席賜り、感謝申し上げます。

皆様が賢明女子学院中学校の教育方針にご理解頂き、温かな御心をお寄せ戴きましたおかげで無事、今日の日を迎えることができました。義務教育の過程は人生の大きな節目ですので、感慨深くお慶びもひとしおのことと存じます。私たち教職員一同、心より感謝しています。

あらためて、74回生の皆さん。中学校卒業おめでとうございます。皆さんは賢明女子学院中学の3年間の学校生活、どのように過ごしましたか。あっという間の3年間でしたか、あるいは、とても長く感じた3年間でしたか。楽しかったことはたくさんあったでしょうが、我慢したことや苦しかったことも多かったことでしょう。全てのことが自己の成長に繋がり、楽しいことも苦しいことも良き思い出として、心の中に生き続けます。生きることは出会いを続けることです。一つ一つの出会いを大切に受け止め、常に最善を尽くす生き方ができれば、嬉しかったことも苦しかったことも、全てがよい思い出となって、あなたの心に輝き続けるでしょう。あなたの未来は、あなたが「今をどう生きるか」によって決まるのです。すべての出会いに、心を尽くすことを心がけてください。そうすれば、あなたの人生はかけがいなきものとなり、成功と幸せの道を歩み続けることができるでしょう。

 

義務教育を終えて、今、新たなスタートを切ろうとする皆さんに、大切にして欲しい2つのことをお話しします。それは「温かいまなざし」と「気づく心」です。

皆さんも知っている通り、私たちは高度に発達したIT化の渦の中にいます。世界は大きく変化し、今後急速なスピードで、人間が行う仕事の約半分がAI化されると言われています。総てが、機械化し合理的に進むと世の中は知的にかたより、感性が失われて人間は機械のようになってしまいます。与えられたことだけをこなしていたのでは感性が働かず、心が育たないのです。

機械は合理的に物事を処理しますが、私達人間は機械にはなり切れません。感性を失った世界ではSF小説のように、機械的に完璧なAIが人間を超えて、AIに支配されてしまうかもしれないのです。AIを正しく用いる為には、豊かな感性と、深く感じる、人間らしい心が必要です。AIには自然の命が通わず、感性が働きません。機械が持つことのできない心の世界を補わねば、人間は機械のようになって、人類社会はバランスを失ってしまいます。

決して失ってはならないもの、それは人間らしい心、真実の愛です。やわらかな優しい心を持ち続けることができれば、人間がAIに支配されることはないでしょう。豊な心を映す「温かな愛のまなざし」を持ち続けてほしいのです。

創立者、聖マリー・リヴィエは言われました。「やがて汲み尽くされる水槽のようではなく、決して涸れる(かれる)ことなく、豊かに水を与える泉のようでありなさい」と。あなた自身が、常に「温かいまなざし」を持つことの出来る人、愛のある人になって欲しいと心より願っています。

もう一つの「気づく感性」とは、見えないものを観る心、あるいは見過ごさぬ心のことです。生きることは出会いであると述べましたが、全ての出会いを大切に受け止め、小さなことも、注意深く感じ取る心を持てる人になって欲しいのです。感性が自在に働き、よく心が動く生活を続けると、多くの気づきが生まれ、深く考える力が育ちます。よく感じ、深く考えることができれば、体験や学習によって積み重ねられた知識を、知恵に変えることができるのです。知恵は創意工夫を生み、豊かな生活を実現します。

今、世界は解決の糸口が見つからない様々な負の問題を抱えて混迷しています。負の流れに飲み込まれないためには、何を良くて何が良くないかを見極める適格な判断力が問われることになります。複雑な世界の情勢を見極めることは困難ですが、一人一人の人が「温かいまなざし」で人と向き合い、目の前に現れる日常的な問題に「気づく感性」を働かせて、一つ一つの問題の解決を積み重さねれば、やがては皆の心が一つになって大きな力が生まれ、世界は正しく動き始めるに違いありません。「温かなまなざし」で注意深く見つめ、大切なことに「気づく感性」を決して忘れないで持ち続けて欲しいのです。

 

最後に、もう一つ忘れてはならない大切なことがあります。それは目に見えない世界と繋がることです。あなた方はカトリック学校である、賢明女子学院中学校で人として大切なことを学びました。それは「祈る心」です。神様と心を一つに結ぶことです。あなた方の祈りが総てを生み尽くす大いなる世界に届けば、魂を揺るがすほどの力が生まれます。清らかなこころを映す深い祈りが、世界に満ちれば、自然と人間の調和する持続可能な未来が約束されるのです。深い「祈り」は目に見える現実の世界と目に見えない神様の世界を一つに結ぶ、確かな歩みの道標となります。「祈る心」が育つよう、この先も自分の心を見つめる生活を続けましょう。

世界中で多発する自然災害や、戦争で多くの命が失われ続けています。自然界との調和を失って孤立し、対立を深める不確実な現実世界に向かって、私達は祈ることができるのです。祈りは、時空を超えて世界中の人の心に届きます。あなた方の深い祈りが、魂の歌となって神様に届けば、世界は平和の道を歩み始めるでしょう。今お話しした「祈り」の意味も心に留めて、4月から始まる新しいスタートに生かしてほしいと願っています。

中学校を卒業する皆さんの輝かしい未来を祝し、ここにいらっしゃる、すべての方々の上に、神様の豊かな祝福がありますようお祈りして、私の式辞といたします。

2024年3月18日

賢明女子学院中学校長   藤岡佐和子

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