賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2024/04/15

ひび割れを長所に変えよう

 こんな話を聞いたことがあります。

 

インドの山奥に、一人の水汲みの男性がいました。その人は、1本の竿を両肩に渡して左右に大きな水瓶を担ぎ、川からご主人様の屋敷まで水を運ぶ仕事をしていました。かなり遠い道のりでしたが、その人は毎朝、丘の上の屋敷から川辺まで下りて行き、一杯に水を満たした水瓶を天秤にかけて運んでいました。

いつも、広い野原を突っ切って、やっとのことでご主人様の屋敷に着くのですが、ある日のこと、屋敷に着くその直前になって、左側の水瓶の水が半分に減っていることに気が付きました。よく見てみると、左側の水瓶の底にはひび割れが出来ていて、そこから水が漏れていたのです。

次の日も、その次の日も、男性は毎日、水汲みを繰り返すのですが、相変わらず左の水瓶からはぽたぽたと水がしたたり落ちるので、屋敷に着く頃にはいつも、水が半分になってしまいます。

そのようなことが何日も続き、ひびの入った左側の水瓶には、とうとう水が溜まらなくなってしまいました。申し訳なく思い、たまらなくなった水瓶は水汲みの男性に言いました。

「あなたは、毎日一生懸命水を運んでいるのに、私の脇腹にひびが入っているために、あなたが苦労して運んでも、水が漏れてしまいます。あなたに、これ以上ご迷惑をかけるくらいなら、自分は壊れてしまった方がいいに決まっています」と言いました。

すると男性は「いいんだよ、心配しないで」と言い、そのまま水を汲み続けました。

それから何年か経ちましたが、男性はやはり水汲みを続けていました。いつも水が満杯の右側の水瓶は得意げでした。ひびの入った左側の水瓶は水運びの役目は全く果たせません、いたたまれなくなって水汲みの男性に言いました。

「ひび割れた、私のせいで、あなたの努力が報われない。あなたは一生懸命働いているのに申し訳ありません。」

それを聞いた男は、いつものように、二つの水瓶を担いで、丘の高いところまで行き、毎日通う道を見下ろして言いました。

「さあ、見てごらん、美しい花の道ができているね、さて、花が咲いているのは右側かな、それとも左側かな」

左側の水瓶ははっとして、「私が通った左側に花が咲いています」と叫びました。

「そうだね、君が通った道には花が咲いているね。この花はね、君が育てたんだよ」………ひびの入った水瓶は、その意味がよく分かりません。不思議な顔をしている水がめに、水汲みの男は言いました。

「私は、ひび割れに気づいていたけれど、敢えて修理しなかったんだよ。ここは雨の降らない土地だから、花を育てるには骨が折れる。だが、君なら、ちょうどよい具合に道を水で湿らすことができる。そう考えて、僕は花の種を蒔いた。君は、知らないうちに、その種に毎日毎日水をやっていたんだよ。君がいたから、あんなに見事に花を咲かせることが出来たんだ。」

ひび割れた水瓶は、改めていつも通る道の左側に咲き揃う、美しい花を見つめました。そして、長い間「自分はダメな奴だ」と思い続けていたのに、そうではなかったことに気づき、ほっと安堵のため息をつきました。

黙って話を聞いていた右側の水瓶が言いました。

「私は君のように水を撒くことは出来ない。だから花を咲かせることも出来ないんだ。君はなんて素晴らしいんだ。傷の無い私こそが完全だと思っていたけれど、私こそが不完全だったんだと、今気づくことができたんだ。」

 

私たちは皆、完全ではありません。それぞれに、何処かしらひび割れがあります。自分のひび割れを、ひび割れたままにしておくのか、それともそれを役立たせることができるのか、それは自分次第ですね。ひび割れは欠点ではありません。その人の特徴であり、工夫次第で長所に変わります。自分自身をしっかりと見つめる生活ができれば、ひび割れに気づき、それを人のために役立てることができるのです。

今、新しいスタートの時、どんな小さなことでもいいのです、人や社会に役立つよう、人とは違うそれぞれの特徴を伸ばし、それを活かすことのできる人になって下さい。

 

新学期、特に低学年の人は、まだまだ慣れないことも多く、体調を崩している人もあるかもしれません。 しっかり食べて、しっかり休む。睡眠をしっかり取る。それが元気を生む一番の薬です。 では、今日も爽やかに頑張りましょう。

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