2025/09/01
おはようございます。今日から2学期ですが、みなさんは充実した夏休みを過ごせましたか?今年の夏は本当に暑かったですね。しかも、まだ暑さが収まりません。以前は、全校登校日が過ぎる頃には、朝夕の暑さがましになっていましたのに、今年も熱中症を心配しながらの2学期になりそうです。
この異常気象の原因が私達人間にあることを皆さんも知っていますね。地中から、石油や鉱物資源を無制限に掘り起こして加工し、生活の為に使用し、毎日大量のエネルギーを消費しています。このような消費生活を真剣に見直さねば、温暖化が進み、人間が地球に住めなくなってしまいます。日々の生活の中で、私達一人一人がエネルギーの節約を実行せねばなりません。既にSDGsの取り組みを通して、実行していますが、ティッシュペーパーの使用を減らす、水道の水を節約する。節電も大切です。気を付ければ簡単にできる節約がいろいろあります。工夫して頑張りたいですね。
2学期は「賢明」にとって特別な時期、そう「賢明祭」があります。今年のテーマは「Link」ですね。この言葉には、たくさんの意味が込められています。人と人との繋がり、過去と未来の繋がり、心と心の繋がり。「賢明」が大切にしている「教育」にも通じる、素晴らしいテーマですね。
そこで、2週間後に開催される「賢明祭」を前にして、皆さんに1つの努力目標を提案したいと思います。それは、「心の繋がる行動を日常的に実践する」ことです。
心の繋がりは、特別なイベントだけのものではありません。日々の生活での、一つひとつの出会いに心が動き、深く感じることによってこそ、確かな心の絆が生まれます。廊下ですれ違ったときの挨拶、友達が落としたものを拾ってあげる手、誰かの話に傾ける耳。そうした小さな行動に心がこもっていれば、やがて、心と心の繋がり「Link」が大きく育っていくのです。
「賢明祭」では、たくさんのお客様をお迎えします。保護者の方、地域の方、卒業生、初めて「賢明」に来られる方々を、行き届いた「おもてなしの心」でお迎えすることが大切です。私たちの学校の雰囲気や空気感は、皆さん一人ひとりの「おもてなしの心」によって形作られていくのです。
以前、私が習っていた茶道の先生が、外国からのお客様を迎えるときに、「お茶を点てることよりも、心を点てることが大切です。」と仰いました。お茶の作法はもちろん大切ですが、それ以上に、相手の気持ちを思いやる心が大切、それがおもてなしの本質だと教えて頂いたのです。例えば、暑い日には少し冷たいお茶を用意する。緊張している様子なら、笑顔で迎える。言葉が通じなくても、目を見てうなずく。そうした注意深い心の動きが、相手の心に届きます。茶道の先生のおっしゃった言葉は、8月14日に102歳で亡くなられた裏千家前家元、千玄室大宗匠の教えに通じます。
千利休の流れをくむ、裏千家茶道の家元として、大宗匠は「一碗からピースフルネスを(ひとつの茶碗から平和を)」という理念を掲げ、70か国以上を訪れて、茶道を通じた平和のメッセージを世界に届け続けられました。「空飛ぶ家元」と呼ばれた大宗匠の姿は、世界中の多くの人々の心に刻まれていることでしょう。
大宗匠は特攻隊の一員でありながら生き残られました。戦争体験によって命の尊さが身に染み、茶の湯に込める「おもてなしの心」がより深くなったそうです。「おもてなしの心」が心と心を結び、国や文化の垣根を越えて、人と人を結ぶ力になると信じておられました。茶室には勝者も敗者もない。ただ、相手を思いやる心があるだけですと云う、千玄室大宗匠の言葉が、心に深く響いています。
賢明祭も、「心を点てるおもてなしの場」であって欲しいと願います。展示や発表の内容だけでなく、それらに込められた思いや、気配りが、大切なお客様に賢明らしさを伝える手段となります。クラスの仲間との繋がり、先生方との繋がり、そして来場者の方々との繋がり、それぞれの「Link」が重なり合って心が循環し、豊かな社会が実現します。賢明祭が意味深いものとなるよう、「Link」の意味をよく理解し、心に留めて、本番の準備に取り組んでほしいと思います。
さて、みなさんは「おもてなし」を、相手のためにするものと思っているでしょうが、実は自分自身を豊かにすることでもあるのです。誰かの笑顔を見たとき、自分の心も温かくなる。誰かに「ありがとう」と言われたとき、爽やかな気持ちになる。自分の存在が相手に届いたことがわかると嬉しくなり、安心する。そうした経験の積み重ねが、皆さんの心を育み、自ずと「燈台の光となる」立派な人格が育つのです。触れ合いを大切にし、「おもてなしの心」を磨いて下さい。
秋を迎える2学期は、賢明祭だけでなく、様々な学びが深まり実を結ぶ季節です。日々の授業、行事、人との出逢いを心の喜びに変えて「Link」を育て、Linkを広げていきましょう。