賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2025/09/08

勇気の源

今年の夏も、甲子園では熱い戦いが繰り広げられました。兵庫県代表の東洋大姫路高校の選手たちも頑張っていましたね。その甲子園の舞台で活躍した一人の選手が私たちに大切なことを教えてくれました。岐阜県代表県立岐阜商業高校、外野手の横山温大(はると)選手です。

横山選手は、生まれつき左手の人差し指から小指、四本が欠損しています。つまり、片方の手指がほとんどない状態で野球をやっているのです。野球というスポーツは、両手でボールを捕って、投げ、バットを振る競技でから、指がないことは大きなハンデです。そんな中で、彼は「自分のような身体でもできる、やるんだ」という決意を胸に、とことんやり抜き甲子園という夢の舞台に立ちました。

横山君の守備スタイルは独特です。右手に左投げ用のグラブをはめ、ボールを捕った後は左脇でグラブを挟み、右手でボールを取り出して投げる。流れるような動作で、違和感なくプレーをこなします。打撃の方は、左手でバットを添え、右腕一本で振り切る。初戦では2安打1打点という堂々たる成績を残しました。そして、準々決勝で県立岐阜商は強豪、横浜高校を8対7で破り、見事ベスト4入りを果たしたのです。その試合でも、横山選手は全力でプレーし、「ここまでやってきてよかった」と表情を輝かせて語っています。彼は大学でも野球を続ける予定だそうです。

彼がここまで来るには、並々ならぬ努力と工夫がありました。小さい頃は義手を使っていた時期もあったそうですが、お兄さんやお父さんと共に試行錯誤を重ね、今のスタイルにたどり着いたのだそうです。お兄さんは彼のことを「自慢の弟」と語っていました。ご家族の深い愛情が支えとなり、彼の挑戦を達成させたのです素晴らしいですね。

「自分のような身体でも、できるんだ、っていうことを証明したい。同じような境遇の人に、勇気を届けたい。」横山選手はインタビューでこう語っています。私はこの言葉に、深く心を打たれました。

彼は、自分のためだけでなく、誰かの希望になるためにプレーしているのです。人はそれぞれに特徴があり、異なる才能を持っています。野球に徹する彼の姿勢は「才能を最大限に活かし、与えられた命を活き切る」ことの尊さを教えてくれます。

皆さんの中にも、何かに悩んでいる人がいるかもしれません。自分にはできないと思っていること、苦手だと感じていること、周りと比べて自分はダメだと落ち込んでしまうこと、があるかも知れません。しかし、そんな私達に、横山選手の姿が語りかけてくれます。

「できるかどうかは、最初から決まっているわけじゃない。やってみようとする気持ちが、未来を開く力を生むのだ。」

皆さん、勉強、部活動、友人関係、進路、家庭のこと等、その全てがより良いものになるよう、「挑戦」を続けていることでしょう。人生は与えられた才能を活かし、自分らしい自分を生き切るための挑戦です。どんな挑戦にも意味があります。たとえ結果がすぐに出なくても、努力したことは必ず自分を成長させ、生きる力を生むのです。

横山選手のように、困難を乗り越えて自分の限界を超えようとする人がいる。可能性を信じて全力で挑戦を続けること、誰かの挑戦を応援できる人になることがあなた自身に勇気を与えます。そして、そんなあなたを観て、周りの人達も誰かにとっての「勇気の源」になれるのです。

「困難は、乗り越えるためにある。挑戦は、成長するためにある。そして、あなたの存在は、誰かの希望になる。」この言葉を胸に、2学期を歩んでいきましょう。

 

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