賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2025/10/27

食べることの意味を考える朝

10月18日の朝日新聞に、ちょっとユニークな記事が載っていました。「バイキングで食べたいもの」というテーマで、さまざまな人が自分の夢の一皿を語っているのです。ステーキ、お寿司、スイーツ、エビフライなどなど、読んでいるだけでお腹が空いて、舌鼓を打ちたくなるような、そんな楽しい記事でした。ちなみに「あなたが絶対にこれは食べたい、外せない!と思う料理は何ですか?」のランキングで1位は何だと思いますか・・・・・。

1位はお寿司、2位はフルーツ、3位はローストビーフ、4位はステーキ、5位はケーキでしたよ。

でも読み終えたあと、胸の奥にちょっとだけ違和感が残りました。

私たちは、食べたいものを選べる。好きなだけ食べられる。時には食べきれずに残してしまうこともある。テレビをつければ、芸能人が豪快に食べる姿が映し出され、SNSでは爆食動画もあるようです。食を楽しむことは、人生の喜びの一つですから、それ自体が悪いことだとは思いません。

しかし、世界には「今日、何も食べられないかもしれない」と不安を抱えている子どもたちが、大勢います。発展途上国では、栄養不足で命を落とす子どもが、1日に何千人もいるという現実があるのです。彼らには、バイキングの選択肢どころか「食べる」という基本的な権利すら保障されていないのです。この食の格差は単なる経済格差の問題ではありません。私たちの意識の問題でもあります。

ホテルのバイキングで余った料理は、まだ食べられるのに、衛生管理の観点から廃棄されています。日本では年間約500万トンもの量の食品が「食品ロス」として廃棄されているのです。これは、世界の飢餓に苦しむ人々の食料支援に十分な量だと言われています。

私たちは、何気ない日常の中で、「選ぶ側」に立っています。何を食べるか、どれだけ食べるか、残すか残さないか。その選択の一つひとつが、世界のどこかで「選べない」人々の現実と繋がっていることを考えてみる必要があるのではないでしょうか。

もちろん、私たちが食事の無駄をなくすように気を付けたところで、急に世界を変えることはできません。でも、心の中に「問い」を持つことはできます。この食べ物はどこから来たのだろう、誰が作って下さったのだろう、本当に必要な量なのだろうか、残さず食べることが誰かの命に繋がるかもしれない、

そんな「問い」を持つことで、食べることが「感謝」へと変わります。そして、「感謝」の気持ちは「行動」につながります。例えばお弁当を残さず食べること、家での食事に「いただきます」「ごちそうさま」と心を込めて丁寧に言うこと、フードロスを減らす取り組みを意識すること、また参加すること、支援活動に関心を持つこと、などなど、ひとり一人の小さな一歩が集まれば、大きな力になります。

実はね、今日の朝礼では、ノーベル賞の話をしようと思っていたのですが、先日、放送朝礼で林教頭先生が紹介されたので、代わりにこの「食べること」について、皆さんと一緒に考えてみようと思ったのです。

ノーベル賞を受賞するような偉大な研究は、世界を変える力を持っています。私たちが、日々の出来事の一つひとつに広い視野と深い心を持って臨めば多くの人の共感を呼び、やがては世界を変える力となるのです。地球上の70億の人が全て、私達と共に生きる仲間です。世界の情勢に心を配り、戦争や飢餓で苦しむ人達の為に祈り、世界平和の願いを込めて、日々の一歩を進めましょう。

 

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