賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2026/03/19

2025年度中学校卒業式

76回生の皆さん、賢明女子学院中学校、ご卒業おめでとうございます。

やわらかな春の日差しに心満ち、耳を澄ますと桜の蕾の膨らむ音が聴えそうなこの頃です。この良き日に、無事、76回生中学卒業式を迎えることができますことを、教職員一同、心から嬉しく思っています。これも一重に、本日ご臨席くださいました保護者の皆様のご支援、ご協力の賜物と、心より感謝申し上げます。

三年前の入学式の日、私は皆さんに三つのことを話しました。一つ目は、神様から与えられた才能、「タレント」を生かして最善を尽くす「The Best」の精神を大切にすること。二つ目は、人との出会いや巡り来る出来事は、あなたの未来を形作る宝物であるということ。そして三つ目は、あなたの名前には、保護者の皆様の深い愛と願いが込められている、ということでした。あの日、まだ幼さの残る表情で私の話を聞いていた皆さんが、凛とした頼もしい姿で、今こうして、中学卒業を迎えたことを思うと、感慨深いものがあります。

私はこの季節になると、ある機関誌の記事を思い出します。それは、伊豆諸島の最南端にある、青ヶ島という小さな島の春の風物詩のような、心温まる話です。人口はわずか二百人程の青ヶ島には、生徒数が三十人に満たない、小さな小さな学校、青ヶ島小中学校があります。その学校の教育目標は、ただ一つ、「自立」の二文字だそうです。「自立」を目標とするのには、離れ島ならではの理由があるのです。

十五歳の春、島の子供達は中学校を卒業すると、進学や就職のために必ず島を離れ、家族と別れて自立し、一人で生きていかなければなりません。その為に島の大人たちは皆、子どもたちを立派に自立させ、この島から送り出す。という共通の想いを持ち、学校も、家庭も、地域も、一つになって子どもたちを見守っていると記されていました。

三月の終わりのこと、中学を卒業して島を離れる子供たちを乗せた船が港を出る時、島民が総出で見送ります。その時、「おもうわよう」と声を揃え、一斉に手を振り、心を籠めて送り出すのです。「おもうわよう」は島の言葉で「さようなら」を意味することばだそうですが、島のお年寄りによると「この島を出たら、もう二度と帰ってこないかもしれない。たとえ戻らなくても、どこにいるかわからなくなっても、いつまでも、いつまでも心の中で、あなたを想い続けているからね」という意味だそうです。

決して途切れることのない人の世の縁(えにし)。旅立つ子供たちへの想いが海よりも深く静かに、しかし力強く、確かな未来への礎となるのです。それは、遠い遠い昔、何千年、何万年も前から、決して途切れることなく受け継がれてきた掛け替えなき宝物、未来へと大切に受け渡して行かねばならぬ愛の心なのです。

私は今日、賢明が大切にしてきた「温かいまなざし」と同じ意味を持つこの言葉、「おもうわよう」を、心を籠めて中学校を卒業する皆さんに贈ります。皆さん、思い出してください、学校の仲間や先生方の多くの愛に支えられてここまで来れたことを、家族の方々が常にあなた方を見守り、信じ、励まし続けて下さったお蔭で、今日の日を迎えることができたことを。

あなた方の心は、あなた方を想う多くの愛の波動に満ちています。姿が見えなくても、離れていても、決して消えることのない愛を信じて、臆することなく、自身を持って信じる道を歩み続けてください。青ヶ島を出る子供達のように、皆さんも、これから新しい世界へと、一歩を踏み出します。満ち満ちた愛の心は様々な困難を乗り越える糧となるでしょう。あなたの未来は、あなた方が今をどう生きるかによって決まります。最善を尽くし、自分のタレントを生かし、誠実に歩み続けてください。

もう一度言います。「おもうわよう」人を思いやる、この愛の言葉を決して忘れないでください。人と人を結ぶ思いやりの心はAIの時代になっても決して失われてはならないものです。いや、AIという、未だ、未知数の機械が社会をリードする時代にこそ、人と人の心の絆が大切です。思いやりの心を礎に、世界中の人の心が一つに結ぶことによってこそ、地球社会に平和の未来が開くのです。

皆さんは賢明で、「祈る心」を学びました。祈りとは、見えない誰かを想い、今を共に生きる世界中の人を想い、その幸せを願うことです。世界は今、多くの困難を抱えています。だからこそ、あなた方の祈りが必要です。あなた方の深い祈りが命の波動となり、魂の歌となって神様に届けば、世界は平和の道を歩み始めるでしょう。「おもうわよう」という祈りの言葉を深く心に留めて、4月から始まる新しいスタートに臨んでください。

あなた方の未来が、光に満ちたものでありますように。

皆さんの輝かしい未来を祝し、ここにいらっしゃる、すべての方々の上に、神様の豊かな祝福がありますようお祈りして、私の式辞といたします。

 

2026年3月18日

 

入試説明会 イベント情報

光あれ 日々の所感 校長ブログ

The Best

Be Leaders

採用情報

寄付のお願い