賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2023/04/24

あなたも大切な人 わたしも大切な人

4月も早終わりに近づきました。そろそろ新しい友達も出来て、学校生活にも慣れてきたことでしょう。

私は皆さんが元気で楽しい学校生活を送れるよう見守りながら、ピアニストとして、色々な場所で演奏を続けています。このリヴィエ館のように大きなコンサートホールはもちろん、ホスピス病棟や、病院のロビー、お寺の本堂、そうそう、神戸港から出発して瀬戸内海をクルージングする船の上で演奏したこともありました。お寺の本堂では和尚さんの法話付きの演奏会をしました。法話とは仏教の教えを解りやすく話すことです。その法話が深く心に残りました。今日は皆さんにその話をしましょう。

あるところに「共命鳥」(ぐみょうちょう)という、珍しい名前の鳥がいました。「一緒にという意味の共に、の共と、命、そして鳥」と書いて「ぐみょうちょう」と読みます。共命鳥は身体が1つで頭が2つある、不思議な鳥なのですが、どういうわけか2つの頭は仲が良くありませんでした。片方の頭が、右へ行きたい、と言えば、もう一方の頭は、左へ行きたいと言い、片方の頭が、もう休みたい、と言えばもう一方は、まだ遊びたい、と言うのです。

2つの頭は意見が合わず、いつも、いつも、言い争っていたのですが、ある日大喧嘩になりました。怒りが収まらない片方の頭は、何と、もう一方の頭を殺してしまおうと思ったのです。相手が眠っている間に、自分が毒のある果物を食べれば体が一つなのだから相手が死ぬだろうと考えたわけですが、なんだか変ですよね。自分が毒を食べて相手を殺そうというのですから、当然、自分も死んでしまいます。そして、なんと、そんな愚かなことを実行したのです。

毒を食べた頭と、毒を食べたことを知ったもう一方の頭、両方ともが毒のために体がどんどん弱り、だんだん苦しくなって行きました。そして命尽きる直前に互いが互いに大切なことに気づきました。そして話し合ったのです。

「これまで私がわがままを言いながらもやってこれたのは、あなたがいてくれたからだったんだね」「私の命と、あなたの命は、一つに繋がっていて、あなた無しでは生きてこれなかったのに、そのことに気付かず、いやなことばかり言ってごめんね」「いや、私も今やっとそのことに気付きました。ごめんなさい、許してね。」「これからはもう喧嘩もできないし、仲良くすることもできなくなる、本当に残念だけれど、最後に解り合えてよかった」と互いの大切さに気づき、いたわりあいながら安らかに息を引き取りました。

その様子を見守っていたお釈迦様は、「共命鳥」が極楽浄土に生まれ変われるよう計らいました。法話はこのような内容でした。

まるでおとぎ話のような不思議な話ですが、この話は、カトリックの心にも当てはまりますね。あなたは家族といい争ったり喧嘩をすることはありませんか、先生や先輩、後輩、クラスの友達との関係はどうでしょう。いろいろな所で、私たちは「共命鳥」のように相手に反発したり、言い争い、それが原因でいがみ合ったりすることがありますね。でも、ひとりぼっちなら、言い争うこともできませんし、仲良よくすることもできません。

よく考えてみれば、あなたの言動は、相手との関係によって成り立っているのです。そう考えると、自分にとって、相手は掛け替えなく大切な存在であり、同時に相手にとってもあなたは掛け替えなく大切な存在なのです。

考え方、生き方がそれぞれ違っていても、皆、地球に生まれ、今を共に生きる仲間、それぞれが命の糸で深く繋がっています。人間だけでなく、総てのもの、動物や植物、土、水や空も、地球上の総てのものが一つに繋がり、それぞれが他のものに置き換えることのできない大切な役割を担っているのです。このことは、今や、最先端の科学にも叶う、真理です。生きることは様々なものとの出逢いです。一つ一つの出会いを大切に受け止め、よく感じ、よく考える、生活を今日も始めましょう。

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