賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2023/11/13

半日村

斎藤隆介作「半日村」という絵本を読んだことがありますか?

 

 

あるところに「半日村」と呼ばれる村がありました。

その村は、高い山を背にしているので、半日しか日が当たらないのです。日照時間が短いため、すぐに夕方が来て暗くなり、半日村の前にある湖から、寒い風が吹いてきて、湖に波が立ち始めると、鳥は歌うのをやめ、花も笑うのをやめ、田んぼのイネは、からだを縮こまらせてガタガタ震えだします。だからお米や作物の出来がいいわけがないのです。そのためか、村の人々は、いつも青い顔をして元気がなく暮らしていました。

この村に一平という子がいました。ある晩、彼は両親の話を耳にします。

「あの山さえなかったらのう・・・・だめさ、山は山さ、動かすことはできない。あきらめるよりしかたがねえさ・・」

その話を聞いた一平はあることを思いつきました。そして、一平は次の日から毎日山に登り、

土を袋につめ、前の湖に捨てるという行動を始めたのです。その様子をみて、「一体あいつはなにをしているのだろう」と、一平を馬鹿にして笑っていたほかの子供たちも、段々と興味が湧いてきて、一平の真似をするようになり、見向きもしなかった大人たちの態度が変わり始めて、しまいには村中の大人たちも総出で土運びを手伝い始めました。

こうして何年も何年もたったある朝、鳥が鳴くと、田んぼに朝日が差し、花が笑い出し、田んぼのイネは元気に水を吸い上げ始めます。山は半分になって、湖も半分になって、それから半日村は「一日村」と呼ばれるようになりました。

一平が山の土を袋に詰めて捨て始めたのは、何かをどうかしたいという気持ちからでなく、両親が暗い顔をして悩んでいるのを見て、なんとかしたいという熱意からでした。その一心で一人黙々とやり続ける姿が回りの人たちの心を動かし、山を動かす大きな力となって目的が実現し、みんなが笑顔を取り戻したのです。一平が山を動かすという、だれもが思いもよらなかったことに気づき、行動をおこした素直な発想と勇気は、物事をそのままに見るという心と、やり続けることの大切さ、目標に向かって努力することの尊さを教えてくれます。

 

 

先週まで、各学年は修学旅行やピクニックが実施され、楽しい思い出が作れたことでしょう。また、12月は合唱コンクールやクリスマスタブローなど、準備が大変で時間がかかる行事が行われます。行事の準備だけではありません。学習もそうです。受験勉強もそうです。

一つ一つのことは小さく、一人ひとりの力は強くなくても、それが結集すれば、山をも動かす大きな力となります。目の前の一つ一つのことを日々積み重ねることが山を動かすほどの力となり、不可能と思えることを可能にするのです。そして、一人一人がバラバラに行うのではなく、皆が団結することによって、より大きな仕事を達成することができるということです。みんなの心が一つに集まり、積み重なることが重要なのです。団結する心、継続する力を忘れず、諦めずやり抜きましょう。目の前の課題を一つ一つ確実にやり気って、その力を、大きな力に変えていってほしいと願っています。

 

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