賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2023/11/20

はきものをそろえると 心もそろう

はきものをそろえる

はきものをそろえると 心もそろう

心がそろうと  はきものもそろう

ぬぐときに そろえておくと はくときに心がみだれない

だれかが みだしておいたら だまってそろえて おいてあげよう

そうすればきっと 世界中の人の心もそろうでしょう

 

この詩は、長野県にある円福寺というお寺のご住職を務められた藤本幸邦(こうほう)さんという方の詩です。この詩は、東京がたくさんの爆弾によって、焼け野原のようになっていた78年前、終戦の時に作られたのだそうです。終戦直後のこと、上野駅の周りには、食べ物や生活に必要な物を売る店がいくつも並び、多くの人が集まっていました。そのような仮設の商店街を闇市と云います。正式に許可を取ってできたお店ではなく、公の土地に許可なく建てられた市場のようなものだから闇市と云いうのです。

そこには大人だけでなく、戦争で親を失った子供たちもたくさん集まっていたのです。子供のたちは清潔な着物が無く、その多くは裸足でした。それを見た藤本さんはとても心が痛みました。そこで、子供たちを自分のお寺で育てようと思いつき、早速、3人の子供を連れて、自分が住職を務める長野県のお寺に帰りました。その後、お寺で暮らす子供たちの数が20人、30人とどんどん増えていったのです。ある日、玄関に脱ぎ捨てられた靴がバラバラに脱ぎ散らかっているのに目が止まりました。これはいけないと思った藤本さんは子供たちに「はきものをほったらかしにしておくと、また戦争になってしまうぞ」と教えたのです。そのことがきっかけで藤本さんは「はきものがそろうと きもちがそろう」という詩を作られたのだそうです。誰にでもわかる簡単な言葉で書かれていて、深く心に届く素晴らしい詩ですね。

自分の靴を揃えず、脱ぎっぱなしにするという行為は自分のこと、その場のことしか考えていないことの現れです。人を思いやる心が抜け落ちています。自分さえよければいいという自分勝手な考え方しかできていないので、やることが粗雑になるということです。

人を思いやる丁寧な心遣いが出来る人は、常に心が穏やかで、自分の行動を冷静に見つめ、他の人の気持ちを考えて、丁寧に行動することができます。賢明の生徒の皆さんも、自分の物だけでなく、他の人が乱した履物を黙って揃えることが出来る、思いやりの心を持つ人になってほしいのです。

人を思いやる心は自分を見つめ、自分を知ることの裏返しです。他の人や、出来事を自分の心に照らして深く捉え、他の人の心を感じ取って思いを巡らせることができるようになれば、自ずと心が通じ、気持ち良く暮らすことができます。そうすれば人と人の心が循環して争いごともなくなり、互いを思いやる平和な世の中になることでしょう。

先日、ある学校の100周年のお祝いの式典に出席しましたが、生徒達がとても礼儀正しく丁寧に迎えてくれました。来客に対応する生徒達の姿に美しい校風を感じ感心しました。

心が行き届いてこそ、立ち居振る舞いや言葉使いが心に届きます。靴を揃えること、挨拶のことなど、些細な行為の、その一つにも心が現れるということです。

近頃は賢明の皆さんも明るい笑顔で挨拶ができていますね。あなた達の心が生き生きとして野辺の花のように輝けば、その心が相手の心を幸せにします。賢明で学ぶみなさんも自分の心に花を咲かせ、人の心にも、美しい花を咲かせる人であってほしいと願っています。

 

 

 

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