賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2024/01/25

世界の果ての通学路

おはようございます。

先日、中学3年生が学年の行事で、『世界の果ての通学路』という映画のDVDを観賞したことを知りました。この映画は、道なき道を何時間もかけて通学する子どもたちを追った、驚きと感動のドキュメンタリーです。私は、中学3年生が書いてくれたホームルームノートで、それぞれの人の感想を読んだ後、ずっとこの映画に興味を持っていたのです。そこで、M3主任の柴田先生にDVDをお借りして観賞したのですが、とても感動しました。

この作品は日本と全く異なる環境で暮らす、外国の辺境の子供たちに焦点をあてたドキュメンタリー作品ですが、彼らが通う学校への道のりは、あまりにも遠く危険なものでした。

主な登場人物は4人です。まず、11歳のジャクソン君。ケニアのライピキアというところに暮らす少年です。6歳の妹を連れて15㎞の距離を2時間かけて歩いて学校へ通っていますが、途中の通学路にいる、象やシマウマのような野生動物たちに襲われる危険と常に隣り合わせの状態で通っています。

2人目は、アルゼンチンのパタゴニアという牧場で暮らす、カルロスという11歳の少年です。学校から家までは18㎞で、6歳の妹と1時間半かけて通っています。2人で小さな馬の背中に乗り、舗装されていない、でこぼこ道をひたすら進み続けます。

3人目は、モロッコにあるアトラス山脈で、4時間かけて22㎞の距離を学校へ通う少女ザヒラです。さすがに毎日片道4時間かけて歩いて学校に通うのは難しいので、毎週月曜日、まだ太陽も登っていない早い時間帯に出かけ、学校の寮で金曜日まで寝泊りをして、週末にまた4時間かけて帰るのです。

最後に登場するのは、生まれるときに負った障害のために車いす生活を余儀なくされた、サミュエル少年です。そのサミュエルが学校に通うために、二人の弟が彼の車いすを押し続け、バリアフリー化されていないガタガタ道を、アクシデントを乗り越えながら通うのです。

私がこのドキュメンタリー作品を見て、最も感動したのは、遠く危険な通学路を命がけで通う彼らには、それぞれに夢があることでした、ジャクソンはパイロット。パイロットになってあらゆる世界を見ること。カルロスは、いつか獣医になって、この地に住む全ての人の役に立ちたいと願っていること。少女ザヒラは、医師になり、多くの人の命を救うこと。障害者の苦しみを理解できる少年サミュエルも、医師になり、自分のように障害に苦しむ人々の力になりたいと願っていること。日本の私達とはではあまりにも違いがある、過酷な環境にめげず、きらきらとした瞳で夢を語る彼らの姿に、私は深い感動を受けました。そして、頭が下がる思いがしました。

この映画に最初に登場したジャクソン君と妹のサロメさんが日本に来日した時に語った言葉を紹介すると、『リスクのある旅をしている理由は、両親が行けと言ってくれたからということもあるけど、だんだん自覚が出てきたんだ。学校というのは将来への源(みなもと)であり、希望に向かって行動を起こす場所だ。もっと明るく、輝やく明日(あした)に向けて、色々なことを学ぶ場所なんだ。学べる機会を大切にしてほしい。』と述べていました。

映画に登場する子供たちは、学校に通うことで、自分の将来を夢み、社会に貢献することを目指しています。自分の置かれた環境や障害にも負けずに自分の力を発揮しようとしているのです。私たちも、自分に与えられた能力、タレントを活かし自分の夢や目標に向かって挑戦することで自分の人生が充実し、社会に役立つことが出来るのです。

この作品『世界の果ての通学路』は、M3以外の皆さんも、見る機会があれば是非見て欲しい作品と思い、今回紹介しました。ではこれで私の話を終わります。

 

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