2024/04/08
74回生の皆さん、賢明女子学院高等学校ご入学おめでとうございます。
花咲き、木々芽吹く好季。本日、この良き日に、保護者の皆様のご臨席のもと、賢明女子学院高等学校入学式を迎えることができました。心より感謝申し上げます。今年度は、賢明の中学校から進級した82名に、3年コースの生徒5名を加えて、87名の高校新入生を迎えました。
さて、新入生の皆さんは新しいスタート地点に立って、希望と夢に胸を膨らませていることでしょう。高校生活が始まるにあたり、皆さんにお話ししたいことが2つあります。
まず1つめは創立者マリーリヴィエが、学校を創られた深い思いを伝える、教育に関する大切な考え方です。
賢明女子学院高等学校は200年以上前にフランスで、イエス・キリストの御心に倣って、生涯を教育に捧げた聖女マリーリヴィエの精神を受け継ぐ学校です。
「神と隣人への燃え立つ愛によって、輝く太陽になって下さい。」
これは、創立者の言葉です。さて「輝く太陽」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか。それは、まわりの人の心を温かく照らし、笑顔にする太陽のような存在になることを意味します。学校が始まると、皆さんはそのようなことを考えずに生活するでしょう。ですので、高校入学に際して建学の精神を理解し、皆さんひとり一人が本学、賢明女子学院高等学校で学ぶ意味を考えて、新学期に臨んで欲しいのです。
2つめは、「人生の扉」についてです。
皆さんには、これまでの人生において、通り抜けねばならない幾つもの扉があったと思います。「学校」という扉に関していえば、これまでの小学校や中学校の入学や卒業の扉は、必然的に現れた扉です。あなた方がその扉の前まで進めば自動的に開きました。けれども、今日、皆さんが目の前にする賢明女子学院高等学校入学の扉は今までとは違います。自分で選択して、自分で開けた扉です。さて、扉の向こうには、どのような世界が待っているのでしょう。
本学院は特別な立地条件にあります。登下校するあなた達を、白く美しい姫路城が優しく迎え、授業中も暖かく見守ってくれているのです。このような素敵な環境にある学校は全校でも珍しいですね。学びの場は環境が大切です。同じことを学んでも、環境や場の空気によって成果が異なるのです。
また、本校は「心の循環教育」を掲げ、人と人の心の結びを大切にする学校です。家庭のような温かな場創りを心がけ、先生たちも皆さんを家族のように大切に思っています。あなた達は日本一美しい姫路城に見守られ、教職員の優しい眼差しに抱かれてこれからの三年間を過ごし、高校卒業という特別な扉に向かうのです。しかし、与えられてばかりでは何も育ちません。友達や先生との心の絆をしっかりと結び、勉学や学校行事を実のあるものにするために、何事にも率先して取り組まねばなりません。学校生活で訪れる、様々な出会い、その一つ一つが、小さな扉です。その扉を開くあなた達の努力が大切なのです。
学校生活でたくさんの扉を開くことになりますが、扉の開き方は、あなた方次第でどのようにも変化します。力をかけなくても簡単に開く扉もあれば、そう簡単には開かない扉もあるでしょう。周りの人たちと力を合わせねば開かぬ扉もあるかもしれません。それら、様々な扉を開けるには、体力や精神力、知識や知恵が必要です。そして、更に大切なのはそれらを支える「心の力」です。堂々と胸を張って卒業という最後の扉を開けることができるよう、充実の学びを重ね、確かな力を身に付けて、訪れる問題と真っすぐに向かい合いましょう。大切なことは、何が適切で何が適切でないかを選択できる正しい判断力を身に着けることです。
卒業という特別な扉を開き、更に人生の扉を力強く開いて、未来へと真っすぐに歩みを進めて欲しいと願っています。そのためには、いつも、よく感じよく考えることのできる柔軟な心を持ち続けることが大切です。6年コースの人へは、2023年度の終業式にも紹介しましたが、改めて、皆さんに次の言葉を贈ります。
『人間の心は庭のようなものです。
もしあなたが自分の庭に美しい草花の種を蒔かなかったら、
そこにはやがて雑草のみが生い茂ることになります。
優れた園芸家は庭を耕し、雑草を取り除き、美しい草花の種を蒔き、それを育み続けます。
同様に、私たちも、もしすばらしい人生を生きたいのなら、自分の庭を掘り起こし、そこから、不純な誤った思いを一掃し、そのあとに清らかな正しい思いを植えつけ、それを育み続けなくてはなりません』
草木(くさき)は、誰かが水やりをすれば成長します。しかし、自分の心には自分で水をやらねば、潤いを保つことができません。他の人が水やりをしてくれたとしても、自分の心に、水を吸収する力がなければその水を吸収できません。毎日、自分の心に水やりをして、心がよく育つ生活を送って下さい。
最後になりましたが、保護者の皆様、お嬢様のご入学おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。わたくしたち教職員は、お嬢様が賢明女子学院での高校生活を通して、心豊かな女性に成長されることを心より願っております。
本日ここにいらっしゃいます、すべての皆様の上に、神様の豊かな祝福がありますよう、お祈りし、私の式辞とさせていただきます。
2024年4月8日