賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2024/06/24

平和

昨日、6月23日は沖縄「慰霊の日」でした。修学旅行で沖縄に行った人は実感したでしょうが、抜ける空と真っ青な海。沖縄の自然は本当に美しいですね。

皆さんも知っているように、太平洋戦争末期の1945年、日本軍と沖縄諸島に上陸したアメリカ軍を主体とする連合国軍との間で熾烈な戦いが繰り広げられました。沖縄戦では日本軍と連合国軍合わせて20万人以上の尊い命が奪われ、そのうち一般の方の犠牲者はおよそ10万人と言われています。沖縄県民の4人に1人が命を落としたことになります。

「平和の詩」は毎年公募で選ばれるのですが、今年は沖縄県立宮古高校3年生の仲間友佑(なかまゆうすけ)さんの詩「これから」が選ばれました。仲間さんは「戦争がなぜ起きるのか」という疑問をきっかけに詩を創作し、多くの人が平和を祈り続けているのに戦争が繰り返されることへの静かな怒りを表現しようとしたそうです。

79年前に起こった忌まわしい沖縄戦の事実を顧みて深く考え、戦争の悲惨、平和の尊さを伝えていくことが世界平和に繋がるのです。詩の内容を確り受けとめ、平和のために何ができるのかを考えてほしいのです。

 

「これから」

 

短い命を知ってか知らずか 蝉が懸命に鳴いている
冬を知らない叫びの中で  僕はまた天を仰いだ

 

あの日から七十九年の月日が流れたという
今年十八になった僕の祖父母も戦後生まれだ  それだけの時が流れたというのに

 

あの日 短い命を知るはずもなく  少年少女たちは

誰かが始めた争いで 大きな未来とともに散って逝った

 

大切な人は突然  誰かが始めた争いで  夏の初めにいなくなった
泣く我が子を殺すしかなかった 一家で死ぬしかなかった
誰かが始めた争いで  常緑の島は色を失くした
誰のための誰の戦争なのだろう

会いたい、帰りたい  話したい、笑いたい
そういくら繰り返そうと  誰かが始めた争いが  そのすべてを奪い去る

 

心に落ちた  暗い暗い闇はあの戦争の副作用だ
微かな光さえも届かぬような  絶望すらもないような

怒りも嘆きも失くしてしまいそうな
深い深い奥底で  懸命に生きてくれた人々が
今日を創った  今日を繋ぎ留めた
両親の命も 僕の命も  友の命も  大切な君の命も  すべて

 

心に落ちた あの戦争の副作用は  人々の口を固く閉ざした
まるで 戦争が悪いことだと  言ってはいけないのだと
口止めするように 思い出したくもないほどの あの惨劇がそうさせた

 

僕は再び天を仰いだ 抜けるような青空を  飛行機が横切る
僕にとってあれは  恐れおののくものではない
僕らは雨のように打ちつける 爆弾の怖さも 戦争の「せ」の字も知らない
けれど、常緑の平和を知っている
あの日も  海は青く  同じように太陽が照りつけていた
そういう普遍の中にただ 平和が欠けることの怖さを 僕たちは知っている

 

人は過ちを繰り返すから 時は無情にも流れていくから
今日まで人々は 恒久の平和を祈り続けた
小さな島で起きた あまりに大きすぎる悲しみを
手を繋ぐように 受け継いできた

 

それでも世界はまだ繰り返してる
七十九年の祈りでさえも まだ足りないというのなら それでも変わらないというのなら
もっともっとこれからも  僕らが祈りを繋ぎ続けよう
限りない平和のために  僕ら自身のために
紡ぐ平和が  いつか世界のためになる  そう信じて

 

今年もこの六月二十三日を  平和のために生きている
その素晴らしさを噛みしめながら              (琉球新報新聞社掲載)

 

 

 

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