おはようございます。

今年の夏は、例年以上の猛暑ですが、みんなは夏休みを元気に過ごせていますか。

7月24日から開催されていた2024・パリ・オリンピックも８月12日に終了し、28日からはパラリンピックが開催されます。オリンピックでは、連日、日本選手団の素晴らしい活躍が放映されていましたね。ライブでの試合を見るため、寝不足になった人もいるのではありませんか。

オリンピック選手達が、全力を尽くす姿を美しく、私達も頑張らなくっちゃと元気をもらえますが、一方で、SNSの誹謗中傷が問題になっています。一面を視て批判するのは良くないですね。モノの見方は色々あります。妥協せず限界までやり抜く姿は美しいですが、勝つことばかりにこだわることはオリンピック精神に叶っているとは言えませんね。まずよい所を認め、反面を観て、客観的に判断する正しい見識を身に付けたいものです。ネット社会のマナーについても考えなければなりません。

この夏休みの期間、それぞれのクラブの練習や試合、また、学院祭の準備に頑張っている人たちの様子、奉仕活動や校外での研修などに参加して貴重な体験をした人たちの様子など、皆さんの頑張っている姿がたくさんインスタにアップされていました。暑さに負けず、頑張っている姿をみて、嬉しく思います。残りの二週間も、ザ・ベストで頑張りましょう。

さて、１学期の終業式で、夏休み中に取り組んで欲しい事として、『1・心と2・身体と3・頭に栄養を』と、３つのことを提案しましたが、取り組めているでしょうか。皆さんに提案した以上、私もこの夏休み中に１冊、何か本を読まねばと思い、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を読みました。今日はその内容についてお話しましょう。

この本は、以前に紹介した時間泥棒に付いて書かれた『モモ』の本と同じ作者、ミヒャエル・エンデによる長編ファンタジーの名作です。『ネバー・エンディングストーリー』として映画化されて有名になりました。上演された当時、映画は観たのですが、原作を読んでいなかったので、今回、選ぶことにしたのです。

読書と空想が大好きな主人公バスチャン少年は、ある日、いじめっ子に追い回され、学校へ行きたくなくて、古本屋に立ち寄ります。そこで「はてしない物語」という風変わりな本を見つけ、店主に黙ってこっそり持ち出し、学校の屋根裏に忍び込んで読み始めるところから、物語は始まります。そして、読み進める内にバスチャン少年は、この不思議な本の世界、「ファンタージェン」へ導かれていくのです。

～物語は～

あるところに「ファンタージェン」という国がありました。そこでは現実離れした夢のような世界＝「虚無」が拡大して、国全体が崩壊の危機に陥っていました。この状況は、人間界からやって来て、女王様に、新しく名前を付けてもらった者にしか救えない、というのです。　丁度そこにバスチャが訪れたのです。バスチャンは女王から「月の子＝モンデンキント」という名を奉り「ファンタージェン」の国を救います。

英雄となったバスチャンは、どんなことでも望みが叶う不思議なメダルを手に入れるのですが、このメダルは、１つの望みと引き換えに、現実世界の記憶を１つ失うという約束事の付いたメダルでした。

バスチャン少年はそのメダルを使うたびに、自分が住んでいた人間界のことや、学校のことを忘れ、いつのまにか、自分の名前、自分が誰であったか、ということまで忘れてしまいます。そのバスチャンに最後の願いが許されました。最後の望みは「本当に欲しいもの、即ち、真の意志に叶うもの」でなければならぬというものでした。

最後の望みをなににしようと色々考えを巡らせましたが、自分が本当に欲しいもの、一番大切なものは偉大なものや賢いもの、或いは強いものでありたいなどという、大それた望みではなく「ありのままに愛されたい」ということではないかと考えました。

そして、その望みが叶えられたのです。「ありのままに愛されたい」という望みが実現すると同時に、それまでの望みは全てもとに戻ってしまいましたが、そこには自分自身を愛することが出来るようになった自分がいました。バスチャンは生きることの最大の喜びは、本当に自分らしい自分を生きることであると気づいたのです。

私たちは自分を愛することを忘れがちです。「ありのままに愛されたい」それは、自分を甘やかすとか、自分勝手に過ごすとかではありません。ありのままの自分を受け入れ、自分自身を肯定することであり、自分を愛し、同時に隔てなく他の人を愛することです。それこそが真の人間の「愛」なのです。

「はてしない物語」はファンタジーの物語でしたが、実は愛の真実を語る物語だったのです。

夏休みも、あと２週間足らずとなりました。まだまだ残暑厳しいですが、そろそろ２学期に向けて、準備をしましょう。