2025/04/07
75回生の皆さん、賢明女子学院高等学校、ご入学おめでとうございます。
冬の間、じっと土の中で春を待ちわびていた虫や鳥たち、そして色とりどりの花々が、
目に見えない大地の命の働きを察知して、動き始めました。冷たい空気に包まれていた世界
が温かな日差しに包まれ、芽吹きの季節が訪れて、新しい喜びに満ちています。
本日、この良き日に、保護者の皆様のご臨席のもと、賢明女子学院高等学校入学式を迎えることができましたこと、心より嬉しく存じます。今年度は、賢明女子学院中学校から進級した6年コース生83名と、3年コース生9名の92名の高校新入生を迎えました。
さて、新入生の皆さんは、新しいスタート地点に立って、希望と夢に、胸を膨らませていることでしょう。賢明女子学院での学校生活が、あなた達をますます成長させ、自分自身を花開かせるかけがえのない時間(とき)となることを願っています。皆さんはひとり一人それぞれに、タレント(才能)を持っています。自分にしかない、独自のタレント(才能)を十分に開くことができれば、あなたの可能性は無限大に広がります。そのために、目の前の課題に注意深く、誠実に取り組み、一つ一つ、確かな歩みを進めて下さい。大切なことは心の対話です。心を開き、友と語り、とらわれの無い自由な心で学びを進め、よく感じ、深く考える日常を重ねれば、本当の自分が観えて来ます。今日は皆さんに、「花よりも、花を咲かせる、土であれ」という言葉をテーマにお話しをしたいと思います。
聖書の中のルカによる福音の中に、「種を蒔く人」のたとえ話がありますが、この箇所は、種がどのような地に落ちるかによって、その成長が左右されることが語られています。
イエスは群衆に向かって、『種を蒔く人が種蒔きに出かけた。蒔いているとき、道端に落ちた種があった。すると、人に踏みつけられ、空の鳥がそれを食べてしまった。また、別の種は、岩の上に落ち、生え出たが、水分がなかったので枯れてしまった。また、別の種は、いばらの真ん中に落ちた。ところが、いばらもいっしょに生え出て、それを押しふさいでしまった。また、別の種は良い地に落ち、生え出て、百倍の実を結んだ。』とあります。
人として成長するために、どのような土壌造りをするかによって、未来が変わります。皆さんがこれからの高校生活で学ぶこと、経験することの全ては、一人の人として豊かな人格に成長し、社会人として花開く、『種』と言えます。その『種』を育むためには、豊かな土壌、生活や学習の環境が必要です。色々な出来事に興味を持ち、よく感じ、深く考えて、心を結び合うことによって土壌が熟成し、種が芽吹き、立派な木に成長するのです。
私たち賢明の学校生活では、感性と知性の調和のとれた学びを軸に、結果として目に見える成績や成果だけではなく、その裏側にあって、あなたの人としての成長を支える、目に目ない努力や思いやりの心も大切にしています。豊かな心を育む繊細な感性と、高い知性を身に着けて、人としての『根』を深く張り、立派な人格が育つ土壌を作り上げていくことが最も大切なことなのです。豊かな心が育てば、感性と知性がバランスよく働き、やがて、それが皆さんひとり一人が、かけがえなき花を咲かせる原動力になるのです。賢明での日常、生活と勉学の日々が、あなたらしい、あなた自身の花を咲かせるための貴重な時間であるということを忘れないでください
賢明女子学院高等学校で、たくさんの尊い学びを重ね、自分らしく生きるための豊かな土壌を培って、スクールモットーである「The Best」を尽くして下さい。豊かな土壌には、立派な木が育ち、美しい花が開き、内面から湧き上がる確かな命の力を感じることのできる日が訪れるでしょう。無限の可能性を信じ、明るく楽しい学校生活を、友達と、先生と、そして保護者の皆様とも、心一つに歩みつづけましょう。
最後になりましたが、保護者の皆様、お嬢様のご入学おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。わたくしたち教職員は、お嬢様が賢明女子学院での高校生活を通して、心豊かな女性に成長されることを心より願っております。
本日ここにいらっしゃいます、すべての皆様の上に、神様の豊かな祝福がありますよう、お祈りし、私の式辞とさせていただきます。
2025年4月7日