賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2025/06/16

想像力で世界を変えよう

今日は、ある一冊の絵本の話をしたいと思います。タイトルは「りんごかもしれない」。

作者は、ヨシタケシンスケさんという絵本作家です。図書館に作品がたくさん置いてあるので見かけたことがあるかもしれませんね。

絵本はこんな一文から始まります。

『テーブルの上にりんごがおいてある。これ、りんごじゃないかもしれない』

このあと、物語は驚くほどの想像世界が広がっていきます。たとえば、

「このりんごは、宇宙人が送り込んできたカメラかもしれない。」

「りんごに見えるけど、中におもちゃが入っているかもしれない。」

「りんごの気持ちを考えたら、誰かに食べられるのは悲しいかもしれない。」

私たちは、普段、見えるもの、言われたことといった、決められたルールの中で生きています。それが正しい、これはこういうものだ、と当たり前のように考えて、そこに疑問を持たなくなってしまうこともあります。しかし、本当は、一つの見方の奥には、もっと多くの「考え方」や「理由」や「気持ち」が隠れているかもしれません。

たとえばですが、クラスの中でちょっと話しにくい人がいたとします。その人が冷たく見えたら、「あの人はそういう性格だ」と決めつけてしまっていませんか。でも実は、人見知りなだけだったり、その日、朝から調子が悪かっただけかもしれないし、なにか、その日アクシデントがあったかもしれません。つまり、目に見える表面的なことに囚われなければ、私たちはもっと、『かもしれない』という想像力を持てるはずなのです。

想像力というのは、勉強や創造(創り出す方の創造ね)の場面に必要なだけではありません。人を思いやるときも、未来を考えるときにも、自分を見つめ直すときにも、とても大切なことなのです。ヨシタケシンスケさんの別の本「つまんない つまんない」では、男の子が「なんで、毎日ってこんなにつまんないんだろう?」と、ひたすら考えます。でも最後に彼は気づきます。「つまんないのは、実は僕がつまんないって決めつけているだけかもしれない」と。

「当たり前」と思っていることをもう一度考えて見る必要があるかもしれませんね。

人と違う意見を聞いた時、「そんなのおかしい」ではなく、「なるほど、そんな意見もあるのか」とか、失敗した自分に対して、「私はダメだなぁ」ではなく、「今はうまくいかない時期かもしれない」と考え、思いが廻れば、「かもしれない」は、不安を希望に変える言葉に進化するのです。

さあ、今日から「かもしれない」を考え直して見ましょう。

何気ない言葉の奥に隠れている、もっと深い気持ちがあるかもしれない。

いつも通る道の景色が、誰かにとっては特別な場所かもしれない。などと。

日々の生活の中で、目に見えるものの奥に、目に見えない世界を感じる、ちょっとした小さな想像力が、大きな優しさに繋がり、そしてそれが積み重なって周囲に広がれば、未来の社会を変えていく力になって行くことでしょう。

それでは、今日も一日元気に過ごして下さい!

 

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