賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2025/11/17

ぬくもりを伝える人となれ

ある機関紙で目にした言葉を皆さんに紹介します。

 

「ぬくもりを伝える人となれ」

 

「ぬくもり」それは目に見えないけれど確かに人の心に届くもの、なんだか、ほこほこ、温かな心を感じる素敵な言葉ですね。情報の渦に呑まれて忙しく動き回る昨今、様々な思いや憶測が錯綜して不安が堪えず、心は殺伐としがちです。そんな現実を生きる私達にとって、「ぬくもり」を感じる、あたたかな心の触れ合いがこの上なく大切です。

科学の発達と共に、機械化が著しく進み、AIやロボットが日常に溶け込む時代です。スマートフォンのAIが質問に答えてくれたり、工場ではロボットが正確に作業をこなし、病院では手術支援ロボットが活躍しています。これらの技術は、私たちの生活を便利にし、時には命を救うほどの大きな力を持っています。しかし、ロボットは機械ですから、どんなに進化しても心を持つことはありません。スマホやロボットに頼り過ぎると心が働かなくなって、人間がロボットのようになってしまいかねません。

電車の中で、一斉にスマホに集中する姿は、スマホを使っているというより、スマホに使われているように見えます。スマホと向かい合っている時は頭だけが働いて、心が動いてないからです。このままだと、気が付かないうちに、スマホやロボットに人間が使われる時代が来るかもしれません。そうなっては大変ですね。ITに没頭する生活に落ち込まぬよう、スマホやパソコンの使い方を良く考える必要があります。

心は私たち人間に与えられた、掛け替えなく大切なものです。よく感じ、深く考えて行動すれば、心を失うことはありません。スマホやパソコンを上手に活用して、心豊かな生活を目指しましょう。

マザー・テレサは、こんな言葉を残しています。

「飢えに苦しむ人たちに、同じ量のスープを図って素早く配るとしたら、あなた方はロボットに勝てません。でも相手の顔を見て、その肩にそっと手を置き、微笑みながら言葉をかける、そうした『温もり』を伝えられるのは人間だけなのです」

この言葉は、まさに「ぬくもりを伝える人となれ」というメッセージです。

ロボットは、正確に、効率的に、そして疲れ知らずに働くことができます。でも、相手の表情を見て、気持ちを察し、そっと寄り添うことはできません。人の痛みを感じ、共に涙を流すこともできません。人の喜びを自分のことのように喜ぶこともできません。温かな気持ちで、そっと寄り添い、互いに「ぬくもり」を感じ合うこと、それが人間である証です。

皆さんの中には、将来AIを使って仕事をする人もいるでしょう。医療、教育、福祉、芸術、どんな分野でも、テクノロジーは私たちの生活を便利にします。しかし、どんなに技術が進んでも、「人の心に触れ、ぬくもりを与える力」は、皆さん自身の内にしかありません。

人間しか持ちえぬその力は、日々の小さな行動の中で育まれます。朝、元気に挨拶をすること。誰かの話を最後まで聞くこと。自分の失敗を認め、謝ること。どれもごく簡単なことですが、大切なことは、それら一つひとつを心を込めて行うことです。目の前の小さな出来事を丁寧に行い、心を尽くせばあなたの心に「ぬくもり」が生まれます。

賢明は、来年、創立75周年を迎えます。長い歴史の中で、多くの先輩方が、人の心に「ぬくもり」を伝える「燈台の灯のような人」を目指して、この学校で学び、社会へと羽ばたいて行かれました。卒業生の、一人ひとりが、スクールモットーを実践し、きっと誰かに「ぬくもり」を届けて下さっていることでしょう。皆さんも日々の生活に心を尽くし、多くの人の心に「ぬくもり」を伝えることのできる、燈台の光のような人になってください。

さて、今日、あなたは、どのようなぬくもりを伝えることができるでしょう。それは、笑顔かもしれません。優しい言葉かもしれません。静かな励ましかもしれません。どんな形でも構いません。今日一日、誰かの心に「ぬくもり」を伝えることができたなら、それが、あなたが心豊な人に成長する一歩となるのです。

 

「ぬくもりを伝える人となれ」

第74回創立記念日を前にして、今朝は私の心に深く残った言葉を伝えました。

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