

2025/12/15
最近、本川達夫さんの著書「ゾウの時間 ネズミの時間」を読みました。その中に「哺乳類は一生の内にはおよそ5億回呼吸する」という一節があり、印象に残りました。ゾウもネズミも、そして私たち人間は、寿命の長さや身体の大きさは違っても、呼吸の回数で見ると不思議な共通点があるのです。
ゾウは大きな身体でゆったりと呼吸をします。ネズミは小さな身体でせわしなく呼吸をします。呼吸の速さが違うけれど、結局「一生の呼吸の回数」は似たような数に収まるのですから、ゾウはゆっくり、ネズミは忙しい時間を過ごすことになります。これを「ゾウの時間」「ネズミの時間」と呼ぶのだそうです。どちらも同じ地球の上で、それぞれのリズムを刻んでいるのですが、大きな動物はゆっくりと、小さな動物はせかせかと生きているということになりますね。
私は少しせっかちなところがあって、つい急いで物事を進めようとしてしまいます。みなさんの中にも、テスト前に焦って勉強したり、部活動で結果を急いだり、友達関係のことでも、早く答えを出したくなることがあるかもしれませんね。そんなとき、皆さんの呼吸は早くなり「ネズミの時間」に近い生き方をしているのです。
呼吸の回数が限られていると考えると、これは大変!!一回一回の呼吸をもっと大切にしなくっちゃ、と思えてきます。普段、私たちは呼吸を意識することは、ほとんどありません。授業中も、部活動中も、友達と話しているときも、無意識に呼吸をしています。でも、その一呼吸一呼吸が、私たちの命を繋ぎ、未来に繋がっていることも事実です。
では一度、ゆっくり深呼吸をしてみましょう。ハイ、どうぞ………。大きく息を吸って、ゆっくりゆっくり吐く………どうですか。たったこれだけのことで、心が落ち着いたり、頭がすっきりしたりしませんか。呼吸は、心と身体を整える力を持っています。焦っているとき、緊張しているとき、怒っているとき、冷静になって呼吸を整えると、不思議と気持ちが変化し、心がゆったり落ち着くでしょう。
「息を吞む」という言葉があります。驚いたときや感動したときに、私たちは思わず呼吸を止めてしまいます。逆に「ため息をつく」という言葉もあります。悩んだり疲れたりしたときに、自然と息が漏れてしまう。呼吸は、私たちの心の状態を映す鏡なのです。
みなさんは、日々の生活の中で、どんな時にどんな呼吸をしているでしょう。せわしなく浅い呼吸をしていませんか。ゆったりと深い呼吸をしているでしょうか。呼吸の仕方に注意することで、自分の心を安定させ、落ち着かせることができることを覚えて、実践してみましょう。
先の説によれば、私たちは限られた呼吸の数の中で生きていることになります。だからこそ、一つひとつの出会い大切にしながら、毎日を過ごしたい。焦って結果を求めるのではなく、呼吸を整え、心を整え、時間を味わいながら歩んでいきたい。どうでしょう。皆さんもそう思いませんか。
勉強もクラブ活動も、人間関係も、すぐに答えが出るものばかりではありません。努力を積み重ね、時間をかけて育まれるものです。呼吸を整え、心を落ち着けて、焦らず、ゆっくり確実に取り組むことで、よい結果が生まれるでしょう。
みなさんが歩む、これからの人生もきっと同じです。進学や就職、夢や目標に向かうとき、きっと焦る気持ちが出てくるでしょう。そのときこそ「呼吸」の大切さを思い出してください。普段、意識をすることはありませんが、呼吸は当たり前のようでいて、実はとても尊いものです。今日から呼吸を意識してみてください。授業の前に、クラブ活動の前に、友達と話す前に、ゆっくりと深呼吸をすると心が落ち着き、目の前の世界が少し違って見えるはずです。
私たちの一生は、限られた呼吸の積み重ねです。ゆったりとした「ゾウの時間」を生きるのか、せわしない「ネズミの時間」を生きるのか。それは自分自身の選択です。
皆さんが、自分らしい呼吸のリズムを見つけ、豊かな時間を刻んで行けますように。