賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2026/02/09

音が生まれる見えない仕組みと心の響き

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが開幕しました。オリンピック史上に残る、素晴らしい構成演出の開会式でしたが、皆さんも観ましたか。

今回のコルティナオリンピックは、第25回の冬季大会ですが、テーマは「アルモニア」響き合うこと。「アルモニア」は「ハーモニー」のことです。響き合うことは私達の日常生活に大切な事であり、音楽の大切な要素でもあります。

今朝は、音楽と関係する、ピアノという楽器の仕組みと、音楽に現れる人の心について話したいと思います。ピアノは、鍵盤を押すと音が出る単純な構造の楽器と思っている人が多いでしょう。でも実際には、鍵盤を押すと内部のハンマーが弦を叩き、弦の振動が響板に伝わって空気が振動して音が鳴ります。つまり、打楽器と同じ原理で音が鳴るのです。ですから響板がピアノの音の美しさを決める重要な役割を担うことになります。

響板は針葉樹の一種の、スプルースという木で作られていますが、年輪の幅が均一で、密度が揃っているほど、振動が滑らかに広がり、豊かな響きが生まれます。

ピアノの音色を決める大きな要素は倍音です。一本の弦が、同時に複数の振動モードを持ち、基本の音に加えて2倍、3倍、4倍という高い周波数の倍音が重なり合うことで、複雑で深い響きが生まれます。しかし、ピアノの弦は太く、張力が強いため、倍音が完全な整数倍にならないという現象が起こります。このわずかな音程のズレによってピアノの音に微妙なニュアンス、温かさや深さが生れるのですから、ピアノの調律には非常に繊細な感覚が必要です。微妙な音程のずれを考慮して、高音は少し高めに、低音は少し低めに調律するストレッチチューニングという方法で微妙な音程を調整します。この方法は単に音を合わせるだけではなく、最も美しく響くように計算された調律法なのです。

楽器には、科学では説明しきれない大切な要素があります。それは知識や技術ではなく音楽を感じる心です。弾き手の心の持ちようによって、同じピアノでも、音が大きく変わるのです。

ピアノは弾き手の微妙なタッチに敏感に反応します。鍵盤を押す速さ、力のかけ方、指先の角度、腕の重さの乗せ方これらがほんの少し変わるだけで、倍音が変化し、響板の振動の状態が変わります。同じ人が、同じ曲を、同じピアノで弾いても、心が落ち着いているときは柔らかい音になり、緊張しているときは硬い音になり、迷いがあると音が乱れます。科学的に見れば、これはタッチの微妙な違いが音響に影響を与えている、ということになりますが、実は、その微妙なニュアンスの元は「心」なのです。音の出し方、タッチをコントロールしようとする作為的な方法より、音楽を感じ、音楽の心を感じ、自然な演奏ができれば、タッチに自ずと微妙な変化が現れ、心をそのままに映す、繊細で自然な音楽が生れます。音楽は神さまへの捧げもの、祈りです。心をそのままに映す自然な音楽こそが、神様に届く、祈りの歌となるのです。

これは、日常の生活にもそのまま当てはまりますね。同じ行動でも、心が整っているときは自然な行動ができ、心が通じて、事が上手く運びます。心が定まらず、ああしよう、こうしようと考え悩んで作為的な行動は相手に受け入れられず、ことが上手く運ばぬことになります。

ピアノが、弾き手の心をそのまま音に映すように、みんなの言葉や態度も、心の状態をそのまま映します。心を整えることは、知識を学び技術を磨くこと以上に大切です。心が整わねば、せっかく習得した知識や技術を活かすことができません。

分け隔てなく、全ての物を受け入れることのできる、柔らかな心の人を目指して、日々の生活を大切に積み重ねましょう。あなたの心のやわらかさ、優しさが深い響きとなって、広く世界に伝わり、人々の心に安らぎ与えますように。

久しぶりの全校朝礼でした。あっという間に2月も過ぎて行きそうですね。そろそろ学年の締め括りをしましょう。挨拶もしっかり続けて下さいね。

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