

2026/04/07
冬の間、静かに大地の中で春を待っていた命が、少しずつ動き始めました。虫や鳥たち、そして色とりどりの花々が、見えないところで働く、大地の力に応えて芽吹き始めています。皆さんもまた学年が上がり、新しい一年の始まりを迎えました。
賢明は今年、創立75周年という大きな節目の年を迎えます。戦後の混乱の中、若い人たちの未来に光を届けたいという願いから生まれたこの学校は、多くの祈りと支えの中で歩みを続けてきました。その歩みの中心にあったのは、いつの時代も「人を育てる」という揺るぎない使命です。皆さん一人ひとりの存在が、その歴史をつくり、未来へと繋いでいく力になっています。
今年度の聖書の言葉として、マタイによる福音書5章、13〜16節の箇所を選びました。
「あなたがたは地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。」
塩も光も、それ自体に価値と役割があるように、私たち一人ひとりも、神様から造られた、かけがえのない存在であり、神様から与えられた使命を持っているということです。多様な文化や価値観が交じり合う社会を生きていくためには、さまざまな考え方に触れ、「人間としてよりよく生きるとはどういうことか」を見つめる必要があります。そして、ひとり一人が持っている力を最大限に伸ばし、それを自分のためだけでなく、共に生きる他者のために生かしていくことが大切です。
もう一つは、与えられた光を隠さず、周りの人のために輝かせることが求められているということです。皆さんの中には、神さまから与えられた光があります。それは、優しさ、責任感、笑顔、ユーモア、努力する力、あきらめない心、誰かを思いやる気持ち。どんな光であっても、それは必要な光です。時には自分なんて…と思う日もあるでしょう。でも、光は、隠してしまえば輝けません。自分の中にある光を信じてください。そして、その光を周りの人と分かち合ってください。
また、塩には守る、支えるという働きもあります。友だちを守る勇気、弱い立場の人に寄り添う優しさ、そうした行いは、まさに塩」としての働きそのものです。皆さんの小さな行いが、学校を、社会を、そして世界をより良くしていきます。
75周年を迎える今年、私たちは過去の歩みに感謝しながら、次の時代へ向けて新しい一歩を踏み出します。学校の歴史は、特別な誰かがつくってきたのではありません。皆さんのような生徒が、日々の生活の中で、学び、悩み、成長し、周りの人を大切にしながら積み重ねてきたものです。皆さんの一歩一歩が、これからの賢明の未来を形づくっていきます。
そして、今年も大切にしたいことがあります。それは挨拶です。2026年度の目標は「世界と未来をつなぐ、心のこもった挨拶ができる賢明生」です。挨拶は、たった1秒でできる「あなたを大切に思っています」という心の表れです。心は声に乗って伝わります。明るい挨拶が交わされる学校は、自然と温かい空気に包まれます。友だちに、先生に、地域の方に、そして自分から、気持ちよく挨拶をしていきましょう。賢明女子学院が、笑顔とあいさつで満ちた学校になるよう、みんなで力を合わせていきましょう。
自分の光を隠さず、塩として、光として、周りの人を温め、照らす存在になってください。今年一年が、皆さんにとって実り豊かな歩みとなりますように。