

2026/04/07
76回生の皆さん、賢明女子学院高等学校、ご入学おめでとうございます。
花咲き、木々芽吹く好季。この良き日に、保護者の皆様のご臨席のもと、賢明女子学院高等学校入学式を挙行できますこと、心より感謝申し上げます。今年度は、賢明の中学校から進級した75名に、3年コースの生徒15名と共に、90名の新入生を迎えました。
本日、高校入学式にあたり、皆さんに、「命の力」についてお伝えしようと思います。私たちは日常、点数や順位、評価など、目に見えるものにのみ価値を見いだしがちです。形に現れる結果は分かりやすく、今の、自分の位置を知る手がかりになります。その意味で結果は大切ですが、それだけで人の真価が決まるわけではありません。寧ろ、目に見えないところにこそ、大切なものが息づいているのです。それは自らの内側に宿る命の力です。賢明では「心の循環教育」を掲げ、心を育み、心を結ぶべく命を育み、目に見えない心の世界と、目に見える知の世界との一体化教育を目指しています。
聖書の中に、善い行いをしてきた人が、神様に迎えられる場面が記されています。神様はこう言われます。「あなたがたは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれた。」それに対して人々は、「いつ、そのようなことをしたでしょうか」と問い返します。すると神様は「最も小さい者、弱き者の一人にしたことは、わたしにしてくれたことと同じなのです」とお答えになります。この言葉は何か特別なことを言っているのではありません。日々の生活の中で、目の前のことに心を向けることの大切さを教えているのです。目の前で、誰かが困っているときに手を差し伸べること、寂しそうにしている人に声をかけること、うまくいかずに悩んでいる友人に寄り添うこと。家族に対しても同じです。特別に目立つものでは無くても、そうした一つひとつの小さな行いに心が籠っていれば、誰かの心を確かに支える力になるのです。
あなたが、心をこめて、そのような行いを実践したとき、あなたの内側にきっと、大切な何かが芽吹きます。見返りではなく、評価でもなく、それは、静かな喜びや心の温もりです。お金で買うことも、他人から与えられることもできない、自分の内側から湧き上がる満ち足りた心、そして、それこそが、「内側の命の力」となるのです。
人を思いやる心、誰かのために行動しようとする意志、困難な状況でもあきらめずに踏み留まる強さ。それらは目には見えませんが、皆さん一人ひとりの中にすでに与えられている大切な命の力です。その力はたゆまぬ実践によって磨かれるのです。
高校生活の三年間は、「内側の命の力」を育てるかけがえのない時間です。勉強に励むことはもちろん大切です。しかし、結果のみではなく、結果に到る、その過程で、どのように考え、どのように努力したかが大切なのです。友人との関わりの中で、相手の気持ちを理解しようとすることもまた、大きな学びに繋がります。時には意見がぶつかることもあるでしょう。しかし、命の力は相手を思いやる誠実な心に向き合った、その体験によって育ちます。うまくいかないことも決して無駄ではありません。思うような結果が出ず、自分の心の弱さに向き合うことができた、そのときにこそ、あなたの心が成長し、立派な人格が育ちます。自分の弱さを知ることは、他者の痛みを理解することに繋がり、より豊かな自分を育てることになるのです。
あなた方、一人ひとりが自分に与えられた命の力を大切に育み、他者のために生かし、人として成長できることを心より願っています。周りの人に目を向け、弱い立場にある人と共に生きる。そのために、自らを磨き、現実を見つめ、世界を知り、多くの経験を積み重ねてください。それこそが、これから始まる賢明での学校生活の、大切な目標です。
保護者の皆様、この度、本校を御信頼いただき、大切なお子様を本校にお預けくださいましたこと、心して受け止め、責任をもって望む所存です。お嬢様方、一人ひとりの「内側の命の力」を大切に育て、その力を人のために生かすことのできる人に成れるよう、教職員一同、心を込めて教育に取り組んでまいります。
新入生の皆さん、今日から皆さんの新しい歩みが始まります。どうか、自分を信じてください。そして、内側に息づく命の力を自分のためだけでなく、周りの人にも伝え広げてください。互いに響き合い、支え合いながら歩む、賢明での三年間の学校生活が、長く尊い人生の礎となるよう、一つ一つの出会いを心に映し、自らを見つめて、「内側の命の力」を育んでください。
神さまの豊かな祝福が、皆さん一人ひとりの上にありますように。皆さんの高校生活が実り多く、喜びに満ちたものとなることを心より願い、私の式辞といたします。
2026年4月7日