賢明女子学院中学校・高等学校

光あれ 日々の所感 校長 松浦明生光あれ 日々の所感 校長 松浦明生

2026/06/08

続けることの尊さ

今朝は、一人の科学者の生き方を通して、「続けることの尊さ」について考えてみたいと思います。

筑波大学名誉教授で、遺伝子工学の世界的権威の村上和雄先生は、ヒトの膵臓からインスリンを作り出す遺伝子の解読に世界で初めて成功した研究者です。八十五年の生涯を通じて歴史的研究と、世界への発信を続けられた先生は、令和3年に惜しまれながらこの世を去られましたが、先生の言葉と生き方は今も多くの人の心に生き続けています。

若い頃、先生はアメリカへ留学されましたが、研究の途上で何度も壁にぶつかったそうです。同じ研究室の仲間に先を越される悔しさ、なかなか結果が出ない焦り、「自分には向いていないのではないか」という不安。そういった苦しさの中でも、先生は、決して研究を怠ることがありませんでした。「続けることが、すなわち道である」この言葉は、長年の研究生活における実感の言葉です。

先生の研究によれば、人間の遺伝子のうち、現在働いているのはわずか約三パーセントに過ぎず、残りの九十七パーセントは、まだ眠ったままだということです。これは、科学的な実証の結果であると同時に、私たちへのメッセージでもあります。皆さんも今、自分の可能性を勝手に決めてしまっていないでしょうか。テストの点数、部活の成績、人間関係などがうまくいかないとき、「自分はこの程度の人間だ」と落ち込むことがあるかもしれません。しかし、村上先生は、あなたの中には、まだ93パーセントも目覚めていない力がある、あなた次第で、内に潜んでいる可能性を活かすことができるのだよ、頑張りなさいと、励ましのメッセージを送ってくださっているのです。

では、その眠っている力をどうすれば引き出せるのでしょうか。先生は、次の六つの習慣がプラスの遺伝子をスイッチオンにすると話されています。

 

①感動する。美しいものを見たとき、人の優しさに触れたとき、素直に「すごい」「ありがたい」と感じる心を大切にする。

②感謝する。当たり前に見えることにも、感謝の気持ちを持つ。家族、先生、友人、食事すべてに「ありがとう」を意識する。

③よく笑う。「毎日笑う人は、認知症になりにくい」という研究結果もあるほど、笑いは体と心に良い影響を与えます。

④人を思いやる。自分のことだけでなく、周りの人のことを考えて行動する。その気持ちが、遺伝子レベルで良い変化を生む。

⑤前向きに考える。ネガティブな感情は「紙に書いて捨てる」のが良いとも言われます。くよくよしても過去は変わりません。前を向くことが大切です。

⑥続ける。何より大切なのが、「続けること」。一日でやめてしまっては、何も変わりません。

 

村上先生の研究人生には、失敗もたくさんあったそうです。論文がなかなか認められない時期、資金が尽きそうになる苦境、体を壊しそうになるほどの過労……。それでも先生がやめなかったのは、「研究が好きだから」という純粋な気持ちと、「いつかきっとできる」という信念があったからです。

中学・高校の時代は、何事につけ、思う様にはいかず、何を目指せばいいのか、立派な人になれるだろうか、自分には可能性があるのだろうかと、悩みの多い時期でしょう。将来がどうなるかは誰にもわからず不安ですね。でも、村上先生が仰るように、迷わず、諦めず、「今を全開全力で生き続けること」に意味があるということです。結果が出なくても、誰かに認められなくても、そのままの心で、物事に全力で取り組めば、現実が良く観え、様々な工夫やアイデアが生れます。それは、あなたの努力や感動や感謝に遺伝子が反応して、よりよい連鎖が起きているからなのです。

今日も前向きの姿勢で、プラスの遺伝子にスイッチオン、一日を精一杯頑張りましょう。

 

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